こんな「賢いウソ」が多くの人を助けるのです

ある人を紹介するとき、私の若いころは、「まじめで几帳面で、とてもいい人ですよ」

といえば、それだけで相手は喜んだように思う。

就職にしても、恋愛にしても、大きなアピールポイントだったのである。

ところが、いまは違う。

どうやら「お堅い」というイメージが定着しているようだ。

 

たしかに、きちんとした人は、その場の雰囲気を堅くしてしまうことがある。

まじめすぎれば、人との関係が円満にはいかないところもある。

「おもしろくて、会っていると楽しい人ですよ」

というのが、いまは人気のある人なのだそうだ。

ある人によれば、

「とくに頭が切れるわけでもなく、クソまじめでもなく、とにかく人と上手くつき合い、みんなを楽しませることができる人が誰からも求められています」

ということだ。

それは、ひとことでいえば、「融通が利く」ということだろうか。

その場に応じて、「上手いウソをつき」、場をなごませることができるということだろうか。

 

部下の女性社員に退職するかどうかの相談を持ちかけられ、仕事が終わってから酒場で話を聞く。

家に嫉妬深い奥さんが待っているとすれば、女性社員とふたりだったことはいわず、同僚と飲んでいたことにしてもいいだろう。

これが、まじめで几帳面な人だったら、自分には全然やましいところはないのだから、、、と正直にいうかもしれない。

各家庭にはいろいろな奥さんがいるからなんともいえないが、ありのままを報告することでもないように思うが、どうだろうか。

お得意さまの接待の席で、後輩が相手に不愉快な思いをさせてしまい、後輩はすっかり落ち込んでいる。

できることなら力づけてやりたい。

そんなときには、「わが若かりし日の失敗と立ち直りの記」を作り話をして勇気づけても悪くはないだろう。

「友達の話なんだけど」といって自分の体験を話してもよい。

人を明るくさせるウソは、人と人との潤滑油になる。

「いいウソをつけるようになったら一人前」と思って努力してみよう。