「サバを食べると頭がよくなる」は本当だった!

アルツハイマー病に足りていないのは、DHAが足りていないのです!

 

さて、ここからは頭がよくなる薬の話です。

薬を飲んで頭がよくなれば、こんなに楽なことはありません。

「頭をよくする薬」というのは、昔から研究されていますが、今のところ「一錠飲めば1000の数字を覚えられる」などという便利な薬はありません。

何よりもコツコツ努力することが、記憶力を高める近道といえます。

しかし、脳になんらかのいい影響を与えることが判明した健康食品や、脳の病気による記憶力の低下を防ぐ薬はいくつかあります。

「DHA (ドコサヘキサエン酸)」はその一つです。

DHAとは不飽和脂肪酸の一種で、わが国では健康食品として売られています。

自然界ではマグロやブリ、イワシ、サバ、サンマなどの魚に多く含まれ、とくにマグロでは目玉のうしろにあるゼリー状の脂肪組織に多く含まれています。

一時期、このDHAは「頭がよくなる薬」などといってブームになりましたが、それほど劇的な効果のあるものではありません。

ただ、ここ数年、DHAの研究がさかんに行なわれるようになり、脳に対するいくつかの働きがわかってきました。

 

DHAの効果について研究結果があらわれはじまる

最初にDHAの脳への効果が指摘されたのは、一九八九年のことです。

ロンドン動物学研究所のクロフォード教授のグループが、「DHAは脳の進化や発達に影響し、知能指数にも関係するのではないか」と指摘したのです。

この仮説を裏づけるために、さまざまな研究機関がDHAの研究を始めました。

富山医科薬科大学和漢薬研究所の浜崎教授の研究では、DHAには一種のストレス抑制作用が認められたと報告しています。

スウェーデンのある研究では、アルツハイマー病患者の脳では、ほかの老人病患者にくらべてDHA値が低いことがわかりました。

群馬大学医学部が行なった実験では、13人の脳血管性痴呆患者にDHAを投与したところ、9人に症状の改善が見られたとしています。

また、魚をよく食べる地方には、うつ病患者が少ないという報告や、失語症の児童にDHAを食べさせたところ、読み書きの能力がアップしたという報告もあります。

DHAは、脳や目の網膜に含まれていますが、脳の中では神経細胞と神経細胞をつなぐシナプスに含まれています。

このことから、DHAは神経細胞の情報伝達をスムーズにする、潤滑油のような役割をしていると考えられます。

 

経験医学の祖でもある中国では、古来、魚は

頭の働きをよくするとされてきましたが、いよいよその効果が科学的に解明されはじめたといえそうです。

 

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