いくつになっても「SOS」が出せる

中間管理職にとって、「自信」と「責任感」は不可欠な資質である。

自信を持ってグイグイ引っ張り、いざというときは逃げたりせずきっちり「おとしまえ」をつけられる上司に部下はついていくのである。

 

ただ、どちらも過剰になると問題だ。

自信過剰はミスに気づかない可能性をはらむ。

そして、「自分ならできる」というプライドや「自分がやり遂げなければ」という責任感があまりに強くなると、ひとりで多くの仕事を抱え込んでしまう。

こういうタイプの人は、ぬきさしならない状態になっているにもかかわらず、「上の者が部下に助けを求めるなんて、上司のプライドが許さない」などと不必要なプライドが邪魔をして、素直にSOSが出せない。

すると、ますます深みにはまっていき、結局は問題が解決できずに心の健康を害してしまう。

 

原因は、間違ったプライドと過剰な責任感だ。

部下にSOSを出すくらいで傷つくようなプライドはプライドではない。

思い違いである。

そして、もうひとつの思い違いは、組織の強みとは助け合うことだという本質を忘れてしまっているところにある。

これこそ上司失格といえる。

自分だけでは手におえないと思ったら、遠慮せずにどんどんSOSを出せばいい。

部下も上司に頼られれば嬉しいはずだ。

頼られるというのは、とりもなおさず信頼されている証だからである。

 

上司の力量というのは、チームのメンバーの力量を把握し、それを結集して最大限の成果をあげるマネジメント能力である。

自分ひとりで仕事を抱えて、部下の力を使いこなすことができないのでは、優れた上司とはいえない。

リーダーは自分個人の力量にではなく、チームの力をどれだけパワーアップさせたかというところにこそプライドを持つべきだ。

 

また、自分がやらなければと仕事を抱え込みすぎて、結局、問題が解決しなかったり体を壊してしまっては、チームに対する責任はとれない。

力を結集してプロジェクトを完遂させ、チームのメンバーそれぞれに達成感と能力の向上を与えるのがリーダーの責任であると認識すべきだ。

自分に求められているプライドや責任感はどのようなものなのか、もう一度じっくり考え直してみてはどうだろうか。