第一印象のいい人、悪い人 差はここから生まれる
今会ったばかりなのに、「あの人とはどうも相性がよくない」と思う人がいる。
うまがあうあわないは、一種生理的な問題でもある。
だから、なぜかしらそりのあわない。
人に対しては、一挙手一投足が腹立たしいものに思える。
こうした相性の悪い人とめったに会わないのならいいが、同僚や上司としてどうしても毎日顔をあわせなければならないとしたら、憂鬱になるのもむりはない。
しかし、要は心のもちようだ
だいたい、初対面の印象がすべてを決定するとはかぎらない。
だれでも、次に会ったときに第一印象とはまったく違う印象を受けて驚いた経験があるはずだ。
最初はどうもうまがあわないと思っていた人と長くつきあっているうちに、無二の親友になるケースもまれではない。
だから、初対面の印象では「嫌いだ」と強く感じた人に対しても、最初から心の壁をつくってしまわないことだ。
はじめて会う人には、だれでも自分を装って接する。これはお互いさまだ。
相手も自分の本当の姿を見せてはいない。
しかし、こんな二人がたびたび顔をあわせているうちに、少しずつお互いの『地』が出てくる。
そういうなかに自分と気があいそうな部分が見つかることは大いにあるのだ。
第一印象は、相手の物腰やもののいいかた、あるいは美醜によって左右されやすい。
心理学者の実験では、顔の美醜と第一印象とは関係が深い。
ごつい体をしていたら、無骨で無神経な印象を覚えることがあるが、案外そんな人がデリケートで他人に対しても心こまやかだったりする。
勘としての第一印象は大切にしたいが、それに縛られて、その人のもっている他の面を見過ごすことがあってはならない。
私は人間をきんぴらごぼうのようなものだと思っている。
きんぴらごぼうは、噛めば噛むほど味わいが変化する。
甘さやからさだけではなく、なんともいえない『うま味』がある。
人間もこのようなものなのだ。
だから、初対面でどんな印象を受けたとしても、とりあえずはもう一度箸をつけて味わってみるのも悪くない。
そうすると、第二、第三の味に接することができるというものなのだ。
これが人と接するときの楽しみである。