「会う時間」より「会う回数」を増やす

「遠くの親戚より近くの他人」という言葉がある。

これは、ご存じの通り、いくら血縁関係のような深い人間関係があっても、頻繁に目の前にあらわれる他人のほうに親しみを感じてしまうということだ。

そこでたとえば、もし「あの人と仲良くなりたい」「よく思われたい」と思っているなら、一度に長い時間をかけて会うよりも、時間は短くてもいいから、回数を多くつきあうほうが、親しさを増す可能性が高くなる。

 

「いいところを見せなきゃ」

「失礼のないようにしなくちゃ」

 

などと考えていると、つい、「会う回数」より、「会う時間の密度や内容」のほうに注意が向いて失敗してしまう。

 

遠距離恋愛がうまくいく秘訣は、三カ月に一度、三時間会うよりは、一カ月に一度、一時間会うこと。

メール友達同士で結婚した人の話では、一日に数え切れないほどのメールを交換したという。

直接会う時間がなければ、手紙やメールを送ればいい。

 

選挙運動の連呼ではないが、何度も出会う相手のことは、どうしても記憶にとどめてしまうものだ。

ちょくちょく顔を合わせることが、人間関係をとりむすぶためには、大いに効果的なことはたしかである。

ところが、ウマがあわないと感じる相手ほど苦手意識が先に立ち、身構えてしまって、つい反対のことをしてしまうのではないだろうか。

 

「今度、心のこもった手紙を書こう」

「次の機会に食事の場をもうけよう」

 

そうこうしているうちに時間がたち、疎遠(そえん)になっていく。

 

「お元気ですか」

「近況はいかがですか」

「近くまで来ましたので、ちょっと寄りました」

 

こんな何でもない言葉で心は通いあうもの。

もちろん、最初の印象があまりにも悪いと、何度顔を合わせてもダメという場合はある。

しかし、「ウマがあう」と思われる人は、こんな短い一言を忘れずに言える人なのだ。