50代になり、将来の先の人生に、いったいいくらかかるのか

「今さら急に家事を手伝うなんて照れくさい」という向きには、「もし、私(夫)が退職したら、夫婦二人でいくらかかるか」という話題から、妻との対話の機会をつくることをお勧めしたい。

この話題は、ごく当たり前のように見えながら、実は意外に夫婦の間で話し合われることが少ないようである。

そして、夫はこれまでの延長線上に、第二の人生の生活設計をしてしまうものである。

しかし、年功序列の賃金体系の中で長年勤めた会社の給与水準を転職先、再就職先の会社で確保しようとしても、50代の人の場合はまず無理である。

多くの人が転職の際に「これまでの給与水準を維持」しようとして挫折する。

 

サラリーマンの給料は、いい加減に決められているようでいて、 意外に合理的なところがある。

高い給料をもらおうと思えば、会社はそれだけの厳しい条件を提示してくるものである。

もし、あらかじめ妻と対話していれば、「夫婦二人の生活費だけなら、それほどかからないこと」が分かるだろう。

つまり、今まで勤務めていた会社と同レベルの収入を確保しなくても、十分やっていける見通しが立つはずだ。

それなら、収入は二の次にして、自分のやりたい仕事、好きな仕事、楽しい仕事、社会的に意義を感じられる仕事を選べばよい

あるいは、「もうこれ以上仕事はしたくない」というのなら、空いた時間に何をするかを考えることが先決である。

そして、そういうものを見つけて、自分のやりたい趣味やボランティア活動などをするためにどうやって生活費をかせぎ出すか、作戦を練ればよいのである。

具体的には退職金の資産運用や公的年金、企業年金などによって、何歳からどの程度の収入が見込まれるか、そして、もし生活費がそれだけでは足りないとすれば、不足分をアルバイトでかせぐということも考えられるだろう。

そうではなくて、やはり確実な給与所得を得たいという人の場合でも、第二の人生での夫婦二人だけの生活レベルがはっきりしていれば、割合気楽に仕事選びができるはずである。