タテ社会の人情関係ちょっと元気が出る話

最近は上手に叱る上司も、上手に叱られる部下もめっきり少なくなってきているように思える。

叱るというのは、感情の動きだ。

感情的なことをよしとしない社会では、怒りは抑えられる。

そんな雰囲気は、理性的で整然とした印象かもしれないが、内実は違うだろう。

怒りが抑えられたぶん、陰険(いんけん:表面は何気なく装いながら、心の内に悪意を隠しているさま)になっているような気がする。

 

上司と部下の関係は、基本的には、親子関係と同じだとわたしは思う。

新人(子供)が、わけもわからずポカをやるから、上司(親)がカッとなって怒る。

怒られた新人は、そこでひとつ仕事を覚える。

上司が、ポカを知っていながら何もいわずそのままにしたら、新人は何も感じずに通りすぎてしまう。

仕事をひとつ覚えられないわけだから、それは上司の怠慢だ。

細かいミスを指摘し、有能なサラリーマンに育てる組織上の役割を放棄しているのだ。

 

細かいのは嫌いだという人もいるだろうが、それは勝手な言い分である。

「これじゃあ、ダメじゃないか!」

「しかし、課長・・・」

世代の違う上司と部下がぶつかって、互いがわかってくる。

若い部下が入ってくれば、カミナリの落ちる回数も増えるだろうが、それだけ職場は活気づく。

その場でエネルギーが発散され、陰湿な人間関係にならないですむ。

 

最近の上下関係を観察していると、まず、上司があまり怒らない。

「ものわかりのいい、やさしい上司」と思われたいのか、感情的になったところを見せたくないのか、最初からあきらめているのか、新人の育成などどうでもいいのか。

そして、部下のほうは叱られ慣れていない。

叱られたら、この世の終わりがきたかのように深刻に考えてしまうか、叱った上司を逆恨みしたり、敬遠したりする。

 

もし、あなたが上司に叱られたなら、その上司をこわがる必要はない。

ちゃんと叱れる上司は、だいたいが親分肌で、心も温かいものだ。

あなたが飛び込んでいけば、喜んで受け入れてくれるだろう。

もちろん、部下としてちゃんと叱ってくれて、しっかり育ててくれる。