信頼されたいときは、低い声に効果がある

「声の高い人」「声の低い人」

このふたりが、仮にまったく同じ話し方をしてもそのトーンから受ける印象というのは大きく違ってきます。

高い声に対するィメージとしては、一般的には「若々しい」「明るい」「愛嬌のある」「行動的」「女性らしい」「子どもっぽい」「騒々しい」「落ち着きのない」「ヒステリックな」といったところでしょう。

確かに女性の高い声は、はつらつとした若さを感じることが多いのですが、これもいきすぎると頭にキンキンと響いてうっとうしく感じるときもありますね。

プラスのイメージからマイナスのイメージまで、とても幅が広いといえます。

 

一般的に男性よりも女性のほうが声質が高いけれども、その理由のひとつに次のようなものがあります。

高い声のほうが助けを呼ぶときに遠くまでよく通り、自己防衛に役立つからというのですが、これは、広大な空を飛ぶ鳥や肉食動物に狙われる草食動物の鳴き声が、たいがい高いトーンであるのと同じという解釈です。

女性を守るべき男性の立場からすると、高い声から「若々しい」「明るい」というプラス・イメージを抱くのと同時に、「落ち着かない」「うっとうしい」というマイナス・イメージの両方を抱いてしまうのも納得できそうです。

女性の高い声に対して本能的に恋心をくすぐられる反面、本来工マージェンシー・コールである高い声を連発されると、神経が参ってしまうということです。

一方、低い声は「男性的」「年季の入った」「落ち着きのある」「信頼の置ける」「知的」「暗い」「威圧的な」というイメージが持たれやすいようです。

 

先ほどの動物学的な分析を借りれば、狼や犬が相手を威嚇するときに低い唸り声を発するのを想像してもらえば納得しやすいでしょう。

人間でも、相手を脅かしてやろうというときは、高い声で恫喝(どうかつ)するよりも低い声で迫ったほうが「怖さ」を演出できます。

声の高さが、相手の心理にどのような影響を与えるかを知っておけば、ケース・バイ・ケースで効果的に使い分けることができます。

例えば、仕事先などで信頼感や経験をアピールしたいときは、あえて声を低く抑えて、話すスピードもゆったりとしたわかりやすい話し方をすることによって、余裕ある態度を演出する効果があると思います。

逆にプライベートで、異性に対して明るさ、親しみやすさをかもし出したいときは、やや声のトーンを上げて話すのが効果的です。

もともと好きな人の前では「声がうわずる」ものでしょうが、これを意識的にふだんよりも少し声のトーンを上げることによって、相手への好意を示すこともできます。

とはいっても、もともと声質の高い人がさらにトーンを上げたのではキンキン声になって、相手に不快感を与えることにもなりますから要注意です。