時にはビジネスにおいても遊びにしても、すべてが完壁を求めしすぎると気力も行動も長続きしないものです。

恋人はできるのに、つき合い始めるとすぐに別れてしまう人がいる。

しかも、そういうことを何度も繰り返す。結婚して半年もしないうちに離婚してしまう人もいる。

転職を繰り返す人もいる。大学を卒業して五年ほどで、十何社会社を移り変わったという人もいた。

同じ職場で、半年も働き続けることができないのだ。

そういう「長続きしない人」に共通しているのは、「完壁主義者」の性格だろう。

自分の希望や夢が百パーセント実現しなければ、満足できない。

ちょっとでも欠けたものが見つかると耐えられなくなり、「もっといいところへ」となる。

「本人にすれば「私は、妥協したくはありません」ということらしい。

 

いわば「オール・オア・ナッシング」で、「いいものはいいが、ダメなものはダメ」なのである。

「そのほうがわかりやすくて、はっきりしていていい」という人がいるだろうが、こんなに危険なことはない。

ある人と結婚してみたら、現実は独身時代に思い描いていた夢のような生活とはまったく違っていた。

そうならば「どうしたら結婚生活を、もっと楽しいものにできるのか」を、ふたりで話し合って工夫するのが正しい対処法だ。

しかし完壁主義者は、そこで「あなたに、だまされた」と一方的に責任を押しつけて「あなたとは別れるしかない」という結論に達する。

就職にしても同じだ。希望に燃えて会社へ入ったが、そこでは自分がやりたいと思っていたことが、ぜんぜんできない。

そうならば「どうすれば周りの人」たちを説得して、やりたいことができるようになるのか」と、知恵を出して企画書を作り、上司や課内を説得するのが正しい。

ところが「こんな会社は将来性がない」と決めつけて「辞めるしかない」と考えてしまうのがオール・オア・ナッシングの人の悪い癖だ。

「あくまでも要協はしたくない」といえばカッコはいいが、自分のことは棚に上げて、うまくゆかないことは人のせいにして、どこかに逃げ出してしまうというのが完壁主義者、オール・オア・ナッシングの人の実態である。

 

現実と妥協できる人、そこから現実を少しでもいい方向へ変えてゆくことができるように知恵や工夫を働かすことができる人が、バランスのいい人である。