「定年後にゆっくり」と考えるのをやめる

仕事以外に楽しめることや趣味を持つと、40代からの後半生が楽しく充実したものになっていく。

こう話すと、「老後のために趣味を探すのか。そんなのは定年になってからで間に合うさ」という声が返ってきそうである。

しかし、がむしゃらに仕事をしている40代ほど、楽しみを持つ必要があるといえる。

 

ひとつの理由は、リフレッシュするゆとりがないと精神的に追い込まれやすく、最悪の場合はうつ状態になってしまうケースもあるからだ。

だが、40代で趣味探しをしたほうがいいというもっと重要なポイントは、老化する脳にある。

40歳を過ぎると脳の前頭葉が萎縮を始めるため、弱い刺激ではだんだん反応しなくなるのである。

「若いときは著が転んでもおかしい」というが、年をとると箸が転んだくらいではおかしくなくなってしまう。

つまり、弱い刺激では心を動かされなくなってきているのだ。

 

たとえば、若いときはいくら食べても美味しいと思って飽きなかったファストフードも、年をとると食指が動かない。

近くの遊園地に行くだけでワクワクしたのに、より遠く、より未知の体験ができる場所への旅行でないと面白くないといったように。

「趣味なんて、定年後にゆっくり探せばいい」という考えに賛成できないのは、このためだ。

定年後にはさらに脳は老化していて、いまよりももっと刺激に対する感度が低くなっていると考えられる。

そうなると、なかなか楽しいと感じるものが見つからない。

結局は、ぼんやりとテレビを見ながら時間を持て余すという状態になりがちなのだ。

 

 

「仕事が趣味だ」と豪語していた人ほど、裏を返せば「仕事しかできない」ということなのである。

だから、50代や定年後の60代より感性が若い40代のうちに、楽しめる趣味を探しておくほうがいい。

旅行でもカラオケでもゴルフでもいいから、40代のうちに楽しいと思えることを探しておこう。

 

これといったものに思いあたらない人は、いっそのこと、友人の趣味につき合ってみてはどうだろうか。

趣味のサークルにいきなり飛び込むには、それなりの決意がいるものだ。

でも、友人の趣味なら、それがどんなものか、サークルがどんな雰囲気か、聞くこともできる。

最初の一歩を踏み出すハードルが低くなるはずだ。

そのうえ、「友だちの友だちはみな友だち」と、友人の仲間にも入れてもらえるので、人間関係に苦手意識のある人には一石二鳥である。

趣味探しの近道として、人の趣味に乗っかってしまうのもひとつの方法だと言えるだろう。