昔の失敗を蒸し返す、その無神経さが人を傷つける

楽しかった想い出は、色あせることがありません。

ある程度の年齢になると、級友や同僚とともに過ごした日々を振り返るのも、楽しみのひとつとなります。

しかし、それも相手によりけり、「人を傷つけない人」であってほしいものです。

 

人は楽しかったことも覚えていますが、失敗や屈辱的なことも忘れないものです。

「小学校一年生のとき、教室でお漏らしした」というような、大人になってしまえば笑って終わる話ならいいのですが、十年前に起こした自動車事故をいつも蒸し返されたのではたまりませんね。

また、仕事で失敗をして、

「キミは、三年前にも△△でミスをしたじゃないか!」

といわれるのも、つらいものです。

いまのことで叱られるなら納得もできますが、昔の失敗まで蒸し返されるのでは、たまりません。

 

昔の失敗を踏み台にして、新しい自分を作っていこうとしている人にとっては、気持ちを踏みつけられたようなもので、深く傷ついてしまいます。

そして、この「傷つきたくない」という心理が、「うるさい!」と怒鳴るなどの逆ギレ状態を生み、よくない人間関係になってしまうこともあります。

心の中にはおそらく、「昔のことを蒸し返すなんて、無神経なやつだ」という腹立たしさが残ります。

 

人を叱るとき、改善を求めるときは、その事柄だけを口にすればいいのです。

昔のことは持ち出さない、これが相手を傷つけずに、自分の要求をわかってもらうことにつながります。

「何度いえばわかるんだ!」という怒りほど、相手を傷つけているのです。