「血管年齢」が若返る長生き栄養素

「人は血管とともに老いる」と言われている。

高血糖状態が長期間続いた糖尿病患者は、血管内皮が傷ついて糖尿病の本質は「血管ボロボロ病」と呼ばれるように、血糖値の急激な乱高下をくり返すことで、血管内皮が損傷し、そこに血栓などができ、脳梗塞、心筋梗塞をはじめとするさまざまな合併症を引き起こすのだ。

ならば、この血管内皮を健康に保ち、再び傷つかないような食事を摂ればいい。

糖質制限を行なうのも、糖質を摂らないことで血糖値の急な乱高下を防ぎ、血管内皮を傷つけないようにするためである。

第一に、血管を健康に保つ栄養素として注目されているのが、マグロの血合部分や、サザエ、カキ、ホタテ、ハマグリなどの貝類、タコ、エビなどに多く含まれているタウリンだ。

 

タウリンは、骨髄中でつくられる前駆細胞を通して、血糖値の乱高下で傷ついた内皮細胞まで届かせることができ、血管自体を若返らせてくれる。

血管年齢が若くなれば、末梢の血液循環もよくなり、若さの証である皮膚の再生や、脳、心臓、腎臓などの内臓の末梢神経の働きをも保ってくれる。

だから「長生産きの栄養素」として役立つのだ。

 

タウリンを多く含む魚介類を日常的に摂っていると、脈拍数が低くなり、血圧も正常化し、認知症の予防にも役立つと言われている。

タウリンとともに血管の健康に必要なのが、千しエビや、するめ、貝柱、干しあわびなどに豊富に含まれているマグネシウムだ。

マグネシウムは、ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸)とともに、体のさまざまな代謝活動をコントロールーしており、代謝酵素が働くのに必要なミネラルである。

 

マグネシウムは、ストレスにさらされると尿中へどんどん排出されてしまい、糖の代謝を悪くする。

そして糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満などのいわゆるメタボリック・シンドロームを引き起こす原因にもなるのだ。

マグネシウムは、落花生、アーモンド、カシューナッツ、ゴマ、雑穀や豆類からも摂れる。

このほか、海藻、野菜、きのこなどに豊富に含まれている。

また、海外産のミネラルウォーターにもマグネシウムが豊富に含まれている。

糖質制限を続ける、おやつ代わりにナッツ類、落花生やアーモンドなどは「ティーズ・フード」と呼ばれ、空腹をだます食べ物の代表選手だ。

これらを空腹時につまんでも、血糖値の急上昇が起こらない。

また、ナッツ類には不飽和脂肪酸が多く含まれているため、動脈硬化を防ぐ働きもある。

とくにピーナッツやアーモンドの薄皮のなかには、レスベラトロールという長寿遺伝子を鍛える成分も含まれている。

レスベラトロールには、赤ワインに多く含まれるポリフェノールと同様の抗酸化作用がある。

また、干しエビやするめ、貝柱の干物など、特に干した貝柱を水で戻して、青菜などを妙めるとき、そこに戻し汁とともに加えると、単なる青菜妙めよりずっと美味しく健康にもいい。

 

ゴマも同様で、我が家自慢の「しらたきそうめん」をつくる際に、つけ汁にたっぷりと入れる。

しらたきそうめんとは、糖質量が高いそうめんは一束だけにし、大半をゆでたしらたきにして食べるものだ。

食感はほとんど、そうめんと同じである。

 

年齢とともに血管は年々老いていく。

その健康を保つために、タウリンと マグネシウムを豊富に含んだ食事を摂り、血管年齢を若返らせることが大切である。

さらに、毎日の食事で摂るべきなのが、フィトケミカルだ。

フィトケミカルは、色とりどりのカラフルな野菜や果物に多く含まれている抗酸化物質で、わかりやすく言えば「老化防止成分」である。

野菜や果物は、過酷な環境でも生き延びるための化学成分を生成している。

この成分が色ごとによって異なるため、たとえば5色から7色ぐらいの野菜や果物を食べると、さまざまな抗酸化作用が体を守ってくれる。

つまり、野菜や果物を摂るなら、できるだけカラフル で色とりどりの野菜を見ミツクスして食べることだ。

赤や緑色のピーマン、茶色のしいたけ、機色のみかん、黄色のレモン、紫色のブドウ、黄金色のたまねぎやグレープフルーツなどだ。

タウリンやマグネシウムとともに、こうした色とりどりの野菜を食べて、フィトケミカルを補充しておきたい。