一か八か。の転職や起業は、愚か者がやること
真面目にあくせく働いていたら、きっと報われるに違いない。
実直で誠実なのは日本人のメンタリティでもありますが、それだけで評価してもらえるほど世の中は甘くはないのが現実です。
プラスアルファの能力や強みがないと評価をしてもらえないのです。
これを理解しないまま起業してしまう人は、少なくありません。
たしかに、コツコツ真面目に仕事をしていれば、社内でも取引先からも評価してもらえるでしょう。
関係者にこまめに連絡を取り、相談を受けたら可能な限り対応する。
それはまわりにとってありがたい存在です。
「○○さんなら、安心して仕事を任せられる」といわれるかもしれません。
けれども、組織のなかで評価される仕事と、起業して評価される仕事は違う。
このことははっきりとお伝えしたいと思います。
組織の一員として働いているときは、取引先はあなたとではなく、会社の「看板」と仕事をしているようなものなのです。
会社の看板がなくなったときに自分になにが残されているのか。
それが「誠実さ」だけだったらやっていけないのです。
企業で求められるのは組織のなかでの役割ですが、起業したら「世の中」から役割を求められます。
たとえば、ファイナンシャルプランナー。
生保や銀行に勤めているファイナンシャルプランナーは、基本的に自社の商品を売り込むのが仕事になります。
自分が属している企業の利益を考えるのが目的になるでしょう。
しかし、独立したら、顧客のライフスタイルに合わせて資金計画を立てるのが仕事になります。
つまり、会社の利益ではなく顧客の利益を考えるのが目的なのです。
この違いを理解しておかないと、独立してから高額の商品ばかりを売り込んで、顧客に不信感を抱かれることになってしまいます。
組織のなかでの役割を、外に出てそのまま演じると失敗してしまいます。
あなたは外でどれくらい通用する人材か
私は40代での転職や起業も応援しています。
ひと昔前は、35歳転職限界説もありましたが、いまは40代の転職も盛んです。
どの企業も即戦力が欲しいので、あらゆる仕事の経験を積み、マネジメント力もある優秀な40代は喉から手が出るほど欲しいのです。
だからといって、誰もが転職に向いているわけではありません。
いまはヘッドハンティングも活発なので、その業界である程度の実績がある人なら、ヘッドハンターから一度か二度は声をかけられていても珍しくありません。
もし、まだヘッドハンターに声をかけられた経験がないのなら、外部に示せるほどの実績を出せていないのかもしれません。
転職をするなら、そこまでの実績を築いてからのほうが成功する確率は高いと思います。
いまいる会社で許価されていても、それが会社の外に出たときにも通用する評価だとはくれぐれも思わないことが大切です。
いまの会社を無鉄砲に飛び出すのではなく、きちんと家族を養っていけるかどうか、よくよく検討してから転職すべきなのはいうまでもありません。
そのためにも、起業や転職で失敗しても戻ってこられるように、いま勤めている会社との関係も良好にしておくことです。
背水の陣で飛び出すのではなく、退却するための砦(とりで)も残しておくのが、40代からのワーク・シフトで大切な心得なのです。