「ひと呼吸おく」と不思議とうまくいく

仕事が思うように進まないとき、真面目で几帳面な人ほどなんとかしようと懸命になるものだ。

いまはそれほどの問題ではないが、ここで解決しておかないと将来大きな問題になってプロジェクト自体が失敗するのではないかという不安が、そのような行動に駆り立てるのだ。

特に40代は、リーダーであるという重圧からこの不安が大きくなる。

 

また、仕事が進まない原因を冷静に把握する必要は誰でもわかっているが、当事者の場合は、この「冷静に」というところが問題となる。

自分では冷静に判断しているつもりでも、渦中にいる者は大局を見る視点に欠ける。

失敗するのではないかという不安が視野を曇らせることも多い。

でも、まだ起こってもいない先の失敗が頭を占めていては、うまくいくものもうまくいかない。

悪い感情や悪いイメージが自分のなかにあるときは、不思議とその悪い方向へと歩んでいくものなのだ。

仕事が思うように進まず、負の感情やイメージが生まれると、それをなんとか解決しようと、そのことばかりを考えて悩んでしまう。

この状態は、一見解決に向かう道を歩んでいるようだが、実は悪い問題に対する不安が大きくなり、悪いイメージばかりが膨張していくにすぎないのだ。

その結果、解決に至る道は遠のくばかりとなる。

 

自分が悪いイメージの不安な状態だと気づいたときは、それを断ち切って、いいイメージで自分を満たすように変えてみてほしい。

つまり、何か問題があったら、少しそこから離れてリラックスし、悪いイメージを引きずらないようにするのだ。

仕事が思うように進まないときに、「どうして進まないんだ、このままでは業務全体が滞ってしまう、なんとかしなければ」と自分を追いつめるのは、解決を遠ざけることに他ならないと認識しよう。

それよりも、「物事にはタイミングがある。少し待ってみようか」と肩の力を抜いてみることだ。

当事者は気づかないが、たいていは近視眼になっているものだ。

 

捜すのをやめたときに捜し物が見つかるように、考えるのをやめたときにいいアイデアが思い浮かんだりするのは、問題から一歩身をひいて、ひと呼吸おくことで、状況を俯瞰(ふかん:広い視野で物事を見ること)できるようになるからだ。

また、ひと呼吸おく余裕のある態度は、他のメンバーの不安を取り除く効果もある。どんなときも、リラックスしていることが仕事がうまくいく近道なのである。