「30回噛んで食べる」だけで効果絶大!
何を食べるかと同様、「食べる順番」も大切だ。
最初に食べるものは、食物繊維を豊富に含んだ野菜サラダである。
これをオリーブオイルや酢といった血糖値を上げにくい調味料で、ゆっくり5分ぐらいかけて味わいながら食べると、食べたものが胃に届くまでに満腹感を得ることができる。
糖質が少ない肉や魚といったメインの料理を食べる。
こうしてお腹をいっぱいにしておいて、最後に玄米ご飯などをひと口食べると、血糖値を上昇させずに済む。
つまり、最初に食べたもの以上には、血糖値が上がらなくなるのだ。
ところが、白いご飯の上に具材がのった井物や、白く精製したパンの上に肉のパテや少量の野菜を挟んだハンバーガーなどを、いきなりかぶりつくとどうなるか。
胃にいきなり大量の糖質が送り込まれるから血糖値が即、急上昇してしまう。
つまり、同じものを食べても、その食べる順番によって、血糖値の上昇のしかたが異なり、太りやすくも太りにくくもなるのである。
次に、食べ方の習慣として健康にいいのは、ゆっくり食べることと、よく噛むことである。
なんだ、そんなこと簡単ではないかと思う方も多いかもしれないが、毎日毎食継続するとなると、なかなか大変だ。
とくに、ひとりで食事をする機会が多いと、どうしても早食いになる。
私も糖尿病になる前は、食べるスピードが速すぎると、よく家族に注意された。
今でも無意識に食べていると、どうしても速くなる。
そうした悪い習慣から脱出するには、まず「環境」を変えることが大切だ。
食事の際、努めて誰かと食事をともにし、話しながら、ゆっくりよく噛んで食べるのはいいことだ。
これも相手が早食いの人だとかえって逆効果になるため、健康に関心が高く、食べる順番や食べ方にも気を配っている同好の士を見つけるといい。
早食いすると、どうしても食べ物が胃に届く前に必要量以上に食べてしまうことになる。
しかし、ゆっくりと噛んで食べると、同じ量を食べても満腹感が増し、実際に食べる量も少なくて満足することができる。
いちばんいいのは、一度口に入れたら約30回意識して噛むことだ。
もうひとつのコツは、箸を長い間持ち続けないこと。
できれば、ひと口ずつ口に入れたら噛む間、箸を箸置きに置くように習慣づけると、ゆっくりと噛むことができる。
以前、ラジオの深夜放送を聞いて感心したのが、そうした習慣を実践するため、箸置きを奮発して高価なものに替え、外食のときにも携帯する、、という習慣づけである。
なるほど、じつに賢いやり方である。
こうすれば、ひとりで食事をしていても、ゆっくりと食事を楽しみながら食べることができる。
せっかく高価な箸置きを買ったからには使わなくてはと自分に意識させ、そこまで徹底できれば立派である。
ゆっくり食べると、脳の中枢神経が刺激され、食欲が抑制されるので食べすぎを防げる。
また、脳の血流や代謝もよくなって、記憶力や集中力も鍛えられるため、認知症の予防にもなる。
次に、よく噛んで食べると、唾液が出て、消化・吸収がよくなる。
人の唾液には、骨や筋肉を丈夫にし、老化防止、細胞活性化、胃がんの原因となるピロリ菌の低減にも効果がある。
唾液の殺菌効果で、虫歯や歯周病の予防にもなる。
唾液がしっかり出てくるまで、とにかく、ゆっくりとよく噛んで食べる。
柔らかなものをよく噛むより、噛み応えのあるものをゆっくりと噛むことによって唾液がよく出てくる。
糖質制限ではよく肉を食べるが、その場合も、箸で切れるほど柔らかい肉といったものは健康によくない。
たとえば、サシの入った霜降りのいわゆる高級牛肉より、自然放牛した新鮮な赤身の牛肉などを網焼きにして余分な脂分を落としてから、よく噛みながら食べるほうがいいのだ。
あるいは、リンゴを皮ごと丸かじりするのもいい。
リンゴの皮には、ポリフェノールを代表するフラボノイド系の抗酸化物質であるケルセチンが多く含まれており、長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)を活性化することがわかっている。
だから、表面をよく洗って、ガリガリと丸かじりしながら食ベるといい。
よく噛んで食べるには、歯の手入れも欠かせない。
歯や歯ぐきの病気は、心臓病や関節リウマチ、肝臓病、肺炎、敗血症の原因にもなるため、歯ブラシを携帯し、食後や睡眠前には必ず歯磨きを励行することだ。
さらに、3カ月に一度ぐらいは歯医者に通い、歯や歯ぐきのケアとクリーニングをしておくといい。
歯や歯ぐきのお手入れを大切にしないと、ゆっくりとよく噛もうと思っても噛めないし、その結果、健康にも影響を及ぼすことになる。