よく噛む「太らない体」をつくる一番簡単な法
食べるスピードが速い人は太る。
あなたは、一度の食事にどれくらいの時間をかけていますか。
20分以内だとしたら、速すぎます。
最低20分はかけて食べるように心がけてください。
なぜなら、速ければ速いほど「太りやすい体」になっていくからです。
さらには消化器系にトラブルを起こす可能性もあります。
脳に満腹感が生じるのは、食べはじめてから20分ほど経過してからです。
これが、「食事は最低20分」の根拠です。
これより速く食べると、脳に満腹感が生じる前に食べすぎてしまいますが、これよりゆっくり食べると、その間に満腹感が生じるから食べすぎない、というわけです。
また、本当にゆっくりと1時間かけて食べるとどうなるか。
食べはじめて1時間経過してからとった糖は吸収が良くなる、という説があります。
したがって、食事にかける時間は、20分から1時間というのが理想です。
さらに、「食べるスピードが速い人は太る」原因は、それだけではありません。
問題は「噛む回数」です。
噛むことは、食べ物の消化・吸収を助ける重要な機能です。
「太らない体」をつくるうえでもっとも重要なのは、噛む回数が「血糖値の上がり方」に関係している、ということです。
噛む回数が少ないと、いきなりたくさんの食べ物が胃に入ることになり、そのせいで食べ物に含まれる糖が短時間で吸収されます。
すると、血糖値が急上昇し、糖をエネルギーに変えて蓄えるインスリンが大量分泌され、結果、体脂肪がたまります。
噛む回数が少ないと、こうして「太る仕組み」が体内にでき上がってしまうのです。
逆に噛む回数が多ければ多いほど、ゆっくり少しずつ食べ物が胃に入るため、糖は時間をかけて吸収されます。
すると、血糖値はゆっくり上昇します。
つまり、よく噛んで食べると、食べすぎも、血糖値の急上昇も、防ぐことができるのです。
よく噛むといっても、どれくらい噛めばいいのでしょうか。
どんな食材でも、つまり硬いものでも軟らかいものでも、ひとロ20~30回、1回の食事で1500~2000回は噛む必要があります。
ごはんならば「粥状になり、甘味を感じるようになるまで」が目安です。
これくらいよく噛むと、歯ぐきやアゴの筋肉に分布している神経が刺激されます。
それが脳の咀嚼中枢(そしゃくちゅうすう)に伝達されます。
すると、脳内で神経ヒスタミンと呼ばれる物質が放出されます。
この物質は満腹中枢を刺激して食欲を抑え、脂肪の代謝を調節する成長ホルモンの働きを良くし、体脂肪の分解を促します。
よく噛むと唾液の分泌がさかんになることも大きなメリットです。
唾液は消化を助けるだけでなく、発がん物質の働きを抑える酵素を含んでいる、とも言われています。
よく噛んで食べるというだけで、「太らない体」になるだけでなく、がんを防ぐこともできるのです。
硬いものは、自然に噛む回数が多くなりますが、軟らかいものはどうしても回数が少なくなってしまいます。
実際、調査によると、軟らかい食べものがあふれている現代、私たちが1回の食事で噛む回数は600回程度。
1500~2000回という適切な回数の半分以下です。
ですから、私たちはかなり意識して「噛む」必要があるのです。
よく噛むために、白米ごはんを玄米ごはんに替えるのも一つの手です。
玄米は白米に比べて硬いので、噛む回数が自然と多くなります。
さらに、玄米はGI値が低く、食物繊維や糖の代謝に欠かせないビタミンB1も豊富です。
食物繊維には血圧の上昇の抑制、免疫力の向上、便秘の解消、有害物質の排出といった働きを持ちます。
ビタミンB1は、糖からエネルギーをつくる際の手助けをします。
疲労回復や精神を安定させる働きがあります。
咀嚼で肥満予防をし、食物繊維で体のそうじをして、ビタミンB1が心身をリフレッシュさせるというわけです。
最近は、白米か玄米かを選べる弁当屋やレストランも増えています。
迷わず玄米を選ぶようにしましょう。
ただ「よく噛む」と意識するだけで、「太らない体」をつくることができます。
「忙しい」「ゆっくり食べる時間がない」と言うかもしれませんが、1回の食事に20分かけるというのは、やってみればそれほどむずかしくはないはずです。
腹八分目を実践し、ちゃんと満腹中枢が刺激されるように「ひと口20~30回噛むこと」も心がけてください。