うわさ好きというか、裏情報にくわしい人は、だいたいどこにもいる。
「なぜ、そんなことまで知っているのか」というような興味津々のエピソードを聞かせてくれる。
うわさ話が好きではない人は、そんな裏情報の話が始まると、うんざりしてしまう。
もともと、あまり品のいい話とはいえないので、そういううわさ話に加わって自分の品位を落としたくない、と思っているのかもしれない。
なるほど、こういった類の話には、スキャンダル写真誌やワイドショー的ないかがわしさがある。
だから、自分はそんなことに興味を持つゲスな精神の持ち主ではない、といいたいのもよくわかる。
しかし、会社の人間関係というのは、かなり泥くさい本音で動いているのも、また確かなのである。
かわいがってもらった先輩の派閥になじめず一匹狼になってしまい、その先輩が部長になってからというもの、ずっと出世を妨害されている男性がいる。
かと思えば、権力の中枢にいる男性と関係を持ち、その後押しで、あっという間に実権を握った女性もいる。
嫉妬、えこひいき、足のひっぱり合い・・・何でもあるのがこの世の中だ。
会社は決して理想の世界ではないし、紳士、淑女(しゅくじょ)の集まりでもない。
それならば、自分だけ「関係ないよ」とうわさ話の現場からサッと立ち去るより、一応、耳に入れておいたらどうだろう。
もちろん、強制するわけではない。
聞いておいて損はないという程度の話だ。
もろちん、うわさ話や裏情報が真実かどうかはわからない。
しかし、火のないところに煙は立たないともいう裏情報を知っていれば、うかつな失言は避けられるかもしれない。
反目し合っているZ部長のことを、反対派閥の部長の前で持ち上げて、
「あいつはあっちの派閥らしい」
と知らないうちに色分けされてしまうことだってありうるのだ。
これらのことは「裏」であり、「表」の論理では対応できない。
やはり、先に知っておいて損しない情報だったのである。
ワイドショー的人間も、それなりに大事にしておいたほうがいい。