こんな前向きなグチや悪口もあります
やかんでお湯をわかすと、注ぎ口のところからポッポッと蒸気が吹き出る。
なべのふたにも小さな穴があいていて、料理を煮炊きすると、この穴から蒸気が出る。
お茶をいれる急須にも小さい穴があいていて、少しだけ熱を逃がしている。
このメカニズムには、おおげさにいえば、人生の真理が含まれているといえる。
もしも穴がなくて、蒸気が逃げられなかったら、きっと吹きこぼれてしまう。
圧力なべのように、少しの隙間もなくギュウギュウと圧力をかけたときには、少しずつ抜いていかないといけない。
へたをすると爆発する。
つまり、熱や圧力は、ちょっとずつ適度に逃がしてやるほうがいいのである。
あまりため込むと、吹きこぼれるか、もしくは爆発する。
人間も同じである。
上司への不満をときにはぶつけたり、同僚と議論を闘わせたり、仕事にイヤケがさしたらサボってみたり、「最近、調子が悪くて・・・」とブツブツこぼしたりと、上手にガス抜きをしている人は、案外、長持ちする。
危険なのは、「とってもいい人」だ。
グチも不満もいわず、いつもニコニコ、人あたりがいい。
よく周囲に気づかって、仕事も真面目にやる。
他人の残業まで引き受けて、体はだいじょうぶかと心配すると、 「平気ですよ」とニッコリ笑顔が返ってくる。
これは危ない。
なぜなら、どうも自分だけわりをくっているのではないかという気持ちは、本人が気づかなくとも、無意識のうちにたまってくるからだ。
すると、思わぬときに爆発する。
いきなり荒れ狂って上司に殴りかかってみたり、「あのAさんが?」と、みんながびっくりするようなご乱行におよぶおそれもある。
次の日の社内には、はれものに触るようなしらじらしさがただよう。
こんなふうになる前に、適当にガス抜きをしたほうがいい。
ためて、ためて、ためて、ためて、大爆発を起こすよりも、小爆発を繰り返しているほうが大惨事にならない。
火山の噴火と同じである。
もしあなたが、自分は相当ためてるな、と思うなら思いきっていまから不満、悪口、グチ、サボリをやってみてはどうか。
ただし、表に出さずに「内内」にするのがコツだ。