リーダーシップとは何か
それは、ひとことでいえば、「肩書を取り去っても通用する指導力」であろう。
しかし、実際の組織では、このようにリーダーが決められるとはかぎらない。
年功序列で自動的にリーダーの立場に押し上げられた上司も多い。
上司の立場に置かれれば、会社から与えられた権限を振るうことができるので、部下はその命令を聞かざるをえない。
これはリーダーシップというより、ポストシップというべきものだろう。
あなたは、このポストシップしか持たない上司に不満いっぱいの毎日を送っているかもしれない。
本当のリーダーシップの何たるかもわかっていないくだらない上司。
それなのに上司というだけで逆らえず、苦労させられているかわいそうな自分。
日本全国いたるところ、そうボヤく部下があふれていそうだ。
「部長は現場のことを何もわかっていないんだ。もう部長の時代じゃないんだよ!」
「ちょっと新しいことをやろうとすると、すぐに『前例がない』とリスク優先でつぶしてしまう。自分が責任を取りたくないだけなんだ。そのくせ手柄は独り占め」
飲み屋での上司批判は的確で手厳しい。
しかし、ここはちょっと考えてみてほしい。
それではあなたは、どんな上司を望んでいるのだろうか。
「理念があって、方向性がはっきりしていて、決断力があるが、ワンマンではない」
「新しい発想に『よっしゃ、やってみろ』という度量があり、失敗したときは上司としての責任を引き受けてくれる」
なるほど、こんな上司がいたらどこでも大人気だろう。
しかし、そこから垣間見られることは、注文のつけすぎ、部下という立場の身勝手さだ。
あなたのほうこそ、困難な状況に立ち向かうのがイヤで、上司にムリを求めていないか。
他人を批判するのはいとも簡単だ。
そして人間、楽なことをやりたいのは誰でも同じ。
飲み屋での上司批判はストレス解消なら大いにけっこう。
しかし、自分も全能の部下ではないことを忘れるなかれ。
そこに気がついていれば、上司批判もまた楽しからずや、だ。