初対面を必ず成功させる話し方のコツ

他人と親しくなるためには、相手の心のなかに踏み込むことが必要だ。

しかし、最初からそんなことはできない。

そこで、おのずと手順というか、ステップを踏みながら徐々に相手の領域に踏み込んでいく技術が必要になる。

まず相手との距離を縮めるために、さまざまな話題をぶつけてみるのがいい。

たとえば、「きょうは寒いですね」

「このごろは炎暑が続いてたいへんですね。もっと涼しくならないものでしょうか」

などといった時候のあいさつは、そのためのかっこうの話題になる。

こうした話題は、ほんらいなんの意味もないから、相手の気持ちを損なうことはなく、人間関係づくりに絶対に失敗しないはずだ。

ただし、アラブあたりで「きょうはいい天気ですね」などといってはへんな顔をされる。

これである程度相手と会話するきっかけがつかめたら、次に、最近世間を騒がせているニュースや、今話題のスポーツの話をさらりととりあげる。

そして、相手がどんな話題に興味を示すか、どんな反応を示すかを観察する。

要するにこれは偵察行動だ。

こうして偵察行動をして、相手の喜ぶ話題はなにかがわかったら、その話題に限定してどんどん押していけばよい。

こうすれば、もう人づきあいは八割がた成功したといっていい。

つまり、初対面の二人の距離を近づけるためには、相手との共通の話題をもち出すことが一番早い。

見知らぬ人に対して、「出身校はどちらですか」とか、「お生まれはどちらですか」と質問するのは、二人のあいだにある心理的な距離を、学校や出身地といった共通の話題で埋めようとしているのである。

人間はそれぞれ違った環境で育ち、違った習慣や考えかたを身につけている。

だから、最初に会った二人のあいだには、数多くの相違点が存在する。

かといって、相手との相違点を明らかにしているばかりでは、会話は成立しないし、なかなか親しくなれない。

そこで、まず相違点ではなく相手との共通点を探す。ゴルフやカラオケ、あるいは話題になっている映画や本の話でもいいだろう。

それが初対面の人と親しくなるための出発点になるわけだ。

大人だけでなく、親と子の対話をスムーズにするためにも、共通の話題からはじめるのが成功への第一歩である。