「自分は、ほかの人よりも忘れっぽい」と思い込んでいる人は、どんな人とくらべて忘れっぽいと思っているのでしょうか。
一流の大学を出ている人ですか。
それとも弁護士のような職に就いている人ですか。
外国語を何カ国語も話せる人や、司法試験に合格するような人は、天才的な記憶力を持っていると思いがちです。
しかし、解剖学的に見ると、人間の脳というのは、それほど差があるものではありません。
では、何が記憶力を左右しているかといえば、そこには興味のあることは忘れないという法則があるのです。
逆にいえば、興味のないことは、すぐに忘れてしまうということです。
外国語が堪能な人は、人一倍外国に興味があり、外国人と話したいという意欲があります。
弁護士になるような人は、法律に興味があるから、司法試験にも合格できるのです。
一方で、「あいつはもの覚えが悪い」とよくいわれる人。
そんな人にかぎって、車に関してはやけにくわしかったり、映画にやたらくわしかったりするものです。
これはひとえに好きなことだから、すんなりと記憶できるのです。
たとえ優秀な弁護士でも、車に興味がなければ、フェラーリとカウンタックの区別がつかないでしょうし、映画をあまり見ない人ならば、ジョージ・ルーカスが監督なのか俳優なのか、わからないでしょう。
『ポケモン」や『遊戯王」のキャラクターを全部覚えている子どもは、大人もびっくりする記憶力の持ち主ですが、子どもは特に好きなことに夢中になりやすいため、まるで乾いたスポンジが水分を吸収するように覚えてしまうのです。
人間は本能に忠実な生きものですから、異性がからんでくると、思わぬ脳力を発揮できることがあります。
英語が苦手な人でも、イギリス人の女性を好きになれば、彼女と会話を楽しみたいという一つの興味や意欲がわきます。
会社ではかたくなにパソコンを覚えるのを拒否していたのに、エッチなホームページを見られると聞いて、一日でインターネットの使い方をマスターしたという男性もいます。
もの忘れがひどいと嘆く前に、覚えたいことに興味を持つことを考えてみましょう。