相談事には、この一言が心に響く
他人とよくウマがあう人は、仲間や目下の者からの相談に乗れる人でもある。
相談を持ちかけられるのは、その人が信用でき、頼りになる人間だからである。
相談さでれる内容はたいていが個人の秘密事とか、私事ということが多いのだから、あえてそうしたプライバシーを打ち明けてくれる仲というのは、ウマがあう仲と言っていい。
しかし、いつでも、どんな相談にも乗れるというわけではない。
相手が難しい判断に迷っているとき、あなたのもとに相談をしにきたが、あなたとしては、その人の判断は賛成しかねるといった場合、どう対処すれば、より一層相手との絆を強くできるのだろうか。
そんなときに便利な言葉が、「もし、私が君だったら、こう判断するな」という婉曲的(えんきょくてき)な表現である。
この言い方は、実際は相手の判断を否定しているのに、そんなに強い拒否のイメージを与えることがない。
そして、相手にもう一度考え直すことを、それとなく促すような作用がある。
「今つきあっている彼女と別れようと思っているんだけど、どうでしょう?」
「もし私が君だったら、そんなに早急には結論を出さないだろうね」
相手は「ダメだよ、ダメ」と頭ごなしに否定されるより、あくまで結論を出す権利は自分にあるのだから、その人の言葉が身にしみる。
言われたことについては積極的に取り入れる方向で考え直そうと思う。
直接的に命令するのがハードな説得とすれば、こちらのほうは、いわばソフトな説得といえる。
しかも、親身になってアドバイスしているという雰囲気もつけ加わるから一石二鳥だ。