「食べ物をしっかり噛む」-それだけで記憶量が違ってくる!
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脳の活動には、エネルギー源となるブドウ糖などの栄養と、酸素が必要です
そして、その栄養や酸素を脳に運んでいるのが血液です。
脳には、心拍出量の約一五%にあたる血流が送られていて、脳血流が十分でないと脳は栄養失調になったり、窒息して機能できなくなります。
この脳血流は、加齢とともにだんだん低下していくといわれています。
しかし、老人の多くは高血圧や動脈硬化など、なんらかの老人性疾患を抱えています。
そこで、加齢にともなう脳血流の低下は、老人性疾患によるものなのか、正常な生理的老化でも本当に低下するのか、はっきりしたことはわかっていません。
ただ、わが国の研究では、老人ホームに入所している老人と、町内会の役員を務めるなどして、活発な社会生活をいとなんでいる老人を比較すると、年齢や血圧、血液中の血球成分にはあまり差がないのに、脳血流には明らかな差があることがわかっています。
また、高血圧がなく、動脈硬化の程度も軽い老人では、それほど脳血流が低下していないこともわかっています。
さらに、脳血流は部位によって違ってきます。
脳の記憶は血流が低下すると障害がでやすくなる
脳全体の平均脳血流が正常であっても、部分的に脳血流が低下すると、なんらかの障害が起こってきます。
急に忘れっぽくなったという人は、記憶に深く関わっている側頭葉の血流が低下しているのかもしれません。
人間らしい感情や思考に関係している前頭葉で脳血流が低下すれば、周囲に無関心になったり、頑固になったりすることが考えられます。
アルツハイマー病では、側頭葉のほか、理解や認識といった機能を司る頭頂葉の脳血流が低下するという特徴があります。
脳血流の低下を防ぐためには、まずは高血圧や動脈硬化を予防·治療することが大切になります。
高血圧や動脈硬化は生活習慣病ともいわれているように、食事や運動、喫煙、飲酒など、長年の生活習慣が大きく影響します。
適度な運動を心がけ、塩分や脂肪、糖分のとりすぎに注意し、野菜や海藻などから食物繊維やビタミン·ミネラルをしっかりとるようにしましょう。
お酒とタバコは脳への栄養を閉ざすことにつながる
お酒はほどほど(ビールで中瓶1本、日本酒で一合弱)に、タバコは今すぐにでもやめるべきです。
タバコは動脈硬化や脳梗塞、がんなどの大きな危険因子であることがわかっています。
また、脳血流を促すためには、脳に刺激と栄養を十分に与えてやらなければなりません。
仕事を離れても社会との関わりを絶たず、積極的に趣味や会話を楽しむように心がけたいものです。
食事の際には、しっかり「噛む」ことも大切です
噛むという動作はあごの筋肉を使うことで脳を刺激するとともに、味わうことで五感を刺激し、脳にいい振動を送るのです。
歯が悪い老人や入れ歯の老人ほど、痴呆になりやすいという調査もあります。
健康な歯を保つことは、もの忘れを防ぐことにもつながるといえます。