「赤ワインに制ガン作用がある」つて本当?
ワインは赤ワインと白ワイン、また、その中間のロゼワインといった種類がある。
それらのワインの中で、ガンの防止効果があるのは赤ワインである。
とくに大腸ガンの防止には、赤ワインがかなり大きな力をもっているといわれる。
なぜ、白ワインでなく、赤ワインがいいかというと、赤ワインに含まれているタンニン系物質の存在が大きい。
赤ワインは、赤系のブドウを皮や種子を含んだままつぶして、そのまま発酵させる。
そのため、皮の部分、あるいは種の周辺に含まれているタンニン系物質が、そのままワインの中に抽出される。
ところが、白ワインの方は、白系のブドウをしぼり、皮や種を分離して果汁だけを醸造する。
そのため、タンニン系物質の含有量は大変少なくなるのである。
赤ワインは、白ワインよりも長い期間熟成させてつくる。
これは、タンニンの渋みを円い味に熟成させるためである。
熟成中は還元熟成といって、ワインは空気中の酸素にはまったく接触させない。
飲むとき初めて、ワインの中に含まれているタンニン系の物質が空気中の酸素に触れて酸化することになる。
タンニン系物質が多いワインほど、料理を食べる前から栓を抜き、空気に接触させておく必要がある。
こうすると、ワインの中に含まれているタンニンが酸化して、きれいな赤い色になるとともに、味もマイルドになる。
ところで、赤ワインには、もう一つ動脈硬化の防止作用があることも知られている。
これも、タンニン系の物質によるものと考えられる。
さらに、ワインに含まれているアルコールの効果も見すごすことはできない。
高血圧が長期に続くと、血管壁がそれに対抗して、コレステロールを血管壁に貼りつけて、破れないように防衛する。
これが動脈硬化を起こす原因となるようだ。
しかし、アルコールには、緊張している神経をやわらげ、さらに、血管壁の収縮を緩めて、血圧を下げる働きがある。
これが動脈硬化の予防に役立つのだと考えられる。
ただ、ワインには10%以上のアルコールが含まれている。
アルコールの過剰摂取は、飲んでいるとき血圧を低下させるのとは反対に、酔いが醒めたとき、血圧を上昇させて、アルコール性の高血圧をひき起こすという反作用もあることを知っておく必要がある。
赤ワインが健康にいいからと飲みすぎるのは、かえって健康を損ねる元になるから、適量を守り、楽しむ心がけが大切である。