補強トレーニングやシューズの使い方、タイムを良くするために懸命にやっていること・・・

その方法はじつは逆効果だったかもしれませんよ!

日頃の練習法からレース前の行動まで、ランナーの間違いをチェックしてみましょう。

 

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間違いのポイント①
フォームが大事だから普段から姿勢に気をつける×

正しく立てない人が正しく歩ける訳がないし、正しく歩けない人が正しく走れる訳がない!

そんな高説を聞くこともある。

確かにごもっともだが、立ち姿勢を完璧に正すところから始めると、いつまで経っても走り出せない。

猫背などの不良姿勢を一瞬にしてランニング仕様に変えるコツは、走り出す前に左右の肩甲骨を寄せること。

「肩甲骨を寄せる背骨のカーブが整って骨盤が前傾します。骨盤が前傾すると体の真下で着地し、その反動と反射で快走できるようになります」。

走っている最中にフォームが乱れたら、肩甲骨をあと3cm狭める気持ちで寄せると、骨盤が前傾してフォームが正しくリセットできる。

 

間違いのポイント②
ホームコースを決めてゆっくり長く走る×

ランナーは週何回、月何kmくらい走るかといった走行距離ではなく、練習の中身である。

長距離選手は、ポイント練習とつなぎ練習という性質の異なるトレーニングを組み合わせるのが定石。

ポイント練習は走力を上げるためのビルドアップ走やインターバルトレーニングといった強度の高いもの。

つなぎ練習は、ジョグのように走力の低下を加えるための低強度の練習だ。

高強度の練習ばかりだと疲労が溜まるし、低強度の練習だけでは走力は横這いで上がらないから、ポイント練習×2回+つなぎ練習×2~3回といった具合にミックスするのだ。

仮に1週間に5回、計25km走るとする。

ならばジョグ5km×5回より、ジョグより速いペースの3km走と距離を延ばした10km走のポイント練習の2回、つなぎ練習のジョグ4kmを3回の方が効果的だ。

 

間違いのポイント③
補強トレーニングも重要!筋肉を意識してゆっくり確実に刺激する×

ランナーなら体幹まわりのインナーマックスを鍛えるべき。

いやいや足腰のアウターマッスルの方が重要だ。補強トレーニングに関しては諸説あるが、スポーツに求められる筋肉はその種目の練習を通して身に付けるのが鉄則。

それを踏まえてあえて補強トレーニングを行うとしても、やり方次第ではせっかく励んでもランに活きないこともある。

ランの接地時間はわずか0.2秒程度。

筋肉は反射的に反応して瞬間的に力を出す。

けれど、補強のために行われる筋肥大や筋力強化を目論んだ筋トレは、インナーでもアウターでも、ゆっくり動かして筋肉に確実刺激を加えるやり方が主流。

それだと筋肉は大きくなるし、強くもなるかもしれないが、反射的かつ瞬発的なランニングというスポーツでは役立ちにくい。

足腰強化のためにゆっくりウォーキング・ランジをやるなら、その場でジャンプして脚の前後を入れ替える瞬発的なジャンピング・ランジの方が有効なのである。

 

間違いのポイント④
ストレッチで足首を柔らかく保っておく×

疲れずに長い距離を走る秘訣は地面を蹴らないこと。

蹴ろうとすると足首の屈伸が入り、ふくらはぎの下腿三頭筋が疲労してペースがおちる。

ランは本来股関節中心の大臀筋、太腿後ろ側のハムストリングスといった大きくてパワーにもスタミナにも優れた筋肉が主役だから、マラソンのような長距離も走破できる。

ストレッチで足首を柔らかくしすぎると下腿三頭筋で地面を蹴りたくなるから要注意。

逆に足首を固めて着地すると、下腿三頭筋が勝手に縮み、一体化したアキレス腱が伸ばされる。

ゴムを引っ張ったようにアキレス腱に溜めた弾性エネルギーを一気に解放するから、弾むように走れるのだ。

「アフリカ人ランナーが長距離に強いのは、日本人などと比べてアキレス腱が長く、弾性エネルギーをうまく溜めて効率的に走れるからです。」

 

間違いのポイント⑤
汚れたシューズは洗って干して常に清潔に保つ×

清潔好きだとランニングシューズも洗いたくなるが、丸洗いするのはオススメできない。

洋服を洗うと伸び縮みするようにサイズ感が変わることがあるし、変質してパフォーマンスが落ちることも考えられる。

汚れが気になるなら表面を布なので拭き、インナーには除菌力のある消臭剤をふりかけておこう。

アメに濡れても、ウェアのように天日干しにするのは避ける。

紫外線でクッション材などの劣化を招く恐れがあるからだ。

濡れたシューズは形崩れを防ぐ為に新聞紙を詰め、日の当たらない風通しの良いところで陰干ししよう。

どう丁寧にケアしてもシューズは300~500km走ったら寿命。

たとえ見た目に異変がなくても、目に見えないクッション性や反発性などは間違いなく落ちる。

洗って清潔に保って長持ちさせようとすると機能が落ちた分だけ足腰への負担が増えたり、トレーニング効果が下がったりする。

古い靴は待履きに格下げし、新品を買おう。

 

間違いのポイント⑥
ランナーなら栄養はサプリではなく食事から摂るべし×

教科書的に言うなら、栄養素は食事から偏りなく摂るのが正解。食生活の乱れをサプリメントで解決とするのは間違いである。

でもランナーに不足しやすく、食事だけでは補いにくい栄養素もある。

その代表格が鉄だ。

鉄は赤血球内で酸素を運ぶヘモグロビンの主成分。

鉄が足りないと酸素の運搬効率が落ちてペースが上げられない。

一般人は必要量が摂れているが、走ると着地時に足裏で破壊されるヘモグロビンが増えるし、発汗でも失われるから、真面目に走る人ほど鉄は欠乏しやすい。

食べ物に含まれる鉄には、レバーなどの動物性のヘム鉄と、ヒジキやほうれん草などの植物性の非ヘム鉄がある。

非ヘム鉄は吸収率が2~5%と悪いから、植物性食品だけから鉄を補うのは難しい。

ヘム鉄の吸収率はその数倍だが、毎日レバーを食べるわけにもいかない。

頑張っているのにペースが上がらないなど鉄不足を疑ったら、素直にサプリに頼ってみよう。