「この人とウマが合うか合わないか」違いはここ!

異なる考えの人を理解するのはむずかしい。

まず、言葉の使い方からしてまるで違う。

われわれはふだん、同じ日本語だから話せば通じると思っているが、それが大間遠い。

たとえば、あなたが思っている「強さ」という言葉と、相手が思っている「強さ」は中身が違ってくることがある。

あなたがほめるつもりで、

「先輩は、周囲のいうことに左右されない、とても強い人ですね」

といったとたん、

「そんなことはない。おれはそんな無神経な人間じゃない」

と猛反発をくらって、あなたは驚く。

あなたは意志の強い先輩に尊敬の意味を込めていったのだが、相手は「周囲に左右されない強さ=無神経」と思っていたのだ。

そこで、わたしからの提案だが、Aさんがいう「強さ」とはどういうことか、Bさんのいう「やさしさ」とは何か。

相手を理解するために、まず、言葉の正確な「意味辞典」をつくったらどうだろう。

 

言葉の通じない動物を理解しようとするのと同じだ。

カラスが「カァー」と鳴いたらどういう意味で、「カァカァ」だったらどうか。

動物学者は根気よく観察して、その意味を理解しようとする。

人間だって同じだ。

最初から別種の動物と考えれば、通じなくとも、すれ違っても、あたりまえだと思えばいい。

相手を奇妙な動物と思い、その生態を克明に観察してみようではないか。

Aさんは、どんなときに怒り、どんな言葉を吐くか。

そしてどんな行動を好むか。

観察日記をつけておくとおもしろいかもしれない。

 

熊に出あったら死んだふりをしろ、マムシにあったらこうしろ、といった対処法があるが、あなたも、理解しがたい人間という動物に対して、それぞれの対処法を見つけておけば、なんとかやっていけるはずだ。

こんな観察を続けているうちに、腹立ちも少しはおさまり、ゆとりが生まれてくる。

いままでの人間関係のからまりようが少し見えてきて、あまりカッカしなくてすむようになる。

それだけでもずいぶんラクになるはずだ。

たとえ上手につき合えなくてもいま以上、関係を悪化させるのは防げると思う。