「嫌われているかも・・・」の妄想から抜け出すには?

悩めるビジネスマンの訴えを聞くと、

「課長は自分だけをイジメている」

「デスクワークをしていて、ちょっと目を上げると必ず自分を監視している」

というのが少なくない。

これがエスカレートすると被害妄想になってくるが、この段階の一歩手前のものは「関係妄想」である。

内向的な人に多い。

すべてを自分に関係づけて考える性癖(せいへき)だ。

その課長がそんなに一日中、ひとりの部下のことばかり考えているわけはないのだが、本人にはそう思えてしまうらしい。

「あなたも将来、課長になるのだから、ベッドに入ったときにでも、そのことを想像してごらんなさい。自分なら部下にどう対するか。いまのあなたのような部下にはどんな態度をとるか、課長に変身したつもりになって想像してごらんなさい」

とわたしはいう。

相手の立場に立ってものを考えていくと、ハッと気づくことが多い。

自分が課長でも、あの課長と同じような態度をとるかもしれない。

自分のような部下はこう見えるかもしれない。

自分の立場だけにこだわっていると、相手ばかりが悪者のように思えてしかたがない。

けれども、相手の立場に立ってみたら、自分のほうが悪者かもしれない。

それがわかっただけで妄想からは逃れられるのである。

また、話しているとどうしても他人の陰口、悪口になってしまう人がよくいる。

こういう人は、自信がなく、いつも心に不安な気持ちがある。

その不安な気持ちが不満となって、身近な人の悪口をいってしまうのである。

こんな人には「仲間意識」を持たせることで不安を軽くできる。

「一緒にどうですか」と昼食に誘ってみる。

あるいは何かの幹事を押しつけて、みんなの中心にひっぱり出してしまう。

参加意識を持たせるのだ。

心に不安のある人は、仲間はずれにされると不安が増幅され、仲間に攻撃の矛先(ほこさき)を向けてバランスを取ろうとする。

だから、仲間に誘って不安感を取り除けば、悪口はいわなくなるのだ。