睡眠の時間よりも大事にしたいこととは

では、睡眠時間が少ないとどうなるのでしょうか。

活性酸素の発生が抑えられる時間、つまり、疲労因子FFの量の減る時間もそれだけ短くなり、疲労回復物質FRによって細胞が修復される時間もそれだけ短くなります。

にもかかわらず、翌日活動したらどうなるか。

またまた活性酸素と疲労因子FFが増え、細胞がさらに傷つきます。

そうなると、夜、床についても、疲労因子FFの量が俄然上回るため、疲労回復物質FRの細胞修復作業はますます追いつかなくなります。

さらに翌日も同じパターンが繰り返されたらどうなるでしょうか。

活性酸素と疲労因子FFはさらに増大してしまいます。

この悪循環が「疲れがなかなかとれない一日中、身体がだるい」「頭がすっきりしない」という症状を引き起こすのです。

では、どのくらいの時間、睡服をとればいいのでしょう。

これは個人差もありますが、傷ついた細胞を修復するには、大人であれば7~8時間、子供の場合は9時間程度が必要であるとされています。

だからといって「じゃあ、毎日、できるだけ多く寝ればいい」というものでもありません。

睡眠時間を確保することはもちろん重要ですが、それだけでは不十分。

より効果的に疲れをとるためには「睡眠の質」を大切にしてもらいたいのです。

 

質のいい睡眠・質の悪い睡眼

睡眠の質

そのことを理解するために、まず睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠の二種類があることを知っておきましょう。

ご存知の方も多いかもしれませんが、ノンレム睡眠とはわかりやすくいうと、深い眠りに入り、脳も身体も休んでいる状態。

いわゆる熟睡していることをいいます。

これに対し、レム睡眠とは浅い眠りの状態。

すなわち身体は休んでいるものの、脳は活発に動いている状態のことをいいます。

突然、目が覚め、トイレに行きたくなったり、夢を見たりするのは、脳が活動しているレム睡眠のときであると考えてください。

そして、このノンレム睡眠とレム睡眠には一定のサイクルがあり、通常の場合、眠りにつくと、すぐにノンレム睡眠の状態に入り、その後、明け方に向けて、レム睡眠~ノンレム睡眠~レム睡眠・・・と繰り返しながらも、徐々にレム睡眠が増えるようになります。

重要なのはこのときの脳内の状況です。

ノンレム睡眠のとき、脳内では神経細胞の修復活動が行われ、その後のレム睡眠のときは、脳内の記憶の整理が行われ、不要な情報は消去されていきます。

では、なかなか寝つけなかったり、寝る時間が遅くなるなどして、熟睡できなかったらどうなるでしょう。

当然、ノンレム睡眠の時間が短くなります。

ということは、脳の神経細胞の修復も完全には行えなくなります。

そのため、傷ついた細胞は翌日に対持ち越されたまま。

だから、朝、目覚めてもスッキリせず、疲れが残る。

つまり、質のいい睡眠とは、いかにきっちりとノンレム睡眠を得られるかどうかに応かかっているのです。