寝る前にやってはいけないこと

睡眠の質を高めるためにぜったいに欠かせないもの、これにも自律神経の働きが関係してきます。

一日の流れでみると、活動のはじまる朝にかけて交感神経の働きがだんだんと高まっていき、夕方以降は休息に適した副交感神経の働きが高まっていきます。

しかし、夜になっても交感神経の働きが上がったままの状態が続き、逆に副交感神経の働きが下がったままだと、寝つきが悪くなったり、睡眠サイクルが乱れるなどして、睡眠の質が下がるようになります。

これを防ぐためには、夜、とくに寝る前には交感神経の働きを抑え、代わりに副交感神経の働きを高めることが大切になってきます。

そこで、眠りに入る前に「これだけは控えたほうがいい」「やらないほうがいい」というものをあげてみましょう。

 

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パソコン・スマートフォンを遠ざける

目から入ってくる刺激には疲労を引き起こすものがいくつもあります。

代表的なものは日光に含まれる紫外線ですが、パソコンやスマートフォン、テレビの画面から発するブルーライトも人体に障害を与えることがわかっています。

とくに寝る前に、これらを使用すると、昼間のような明るい光が眼から脳へ伝わり、交感神経が刺激されて眠気が起こりにくくなり、不眠や疲れがたまる原因になるので注意が必要です。

だからといって現代人が、こういった文明の利器を使わずに生活するのは困難ですので、これらに支配されないよう、使うとき、使わないときを自ら決めて、意識していくことが大事です。

できれば「寝る30分前はメールもチェックしない。インターネットもしない。テレビも見ない」といったように、あらかじめルールを決めておき、余程のことがない限り、使用するのは控えるようにしましょう。

疲れ目の対処法としては、蒸しタオルを目に当てるのがおすすめです。

まず、濡れタオルを絞って電子レンジで温めます(500ワット、30秒程度)。

触ると少し熱く感じる程度の蒸しタオルを目にのせ、4分ほど温めます。

気持ちよくなってきたらタオルをはずしてください。

眠気が襲ってきたらそのまま寝てしまってもかまいません。

 

音楽を聴きながら、寝床に入らない

聴覚は5感の中でとても敏感な器官です。

音が耳から入気ってくると、まるで発火するように一気に神経活動が高まり、交感神経の活動も上昇します。

この神経活動は音が消えたときもまったく同じ。

音楽タイマーをかけて眠ると、音が消えた瞬間に脳に刺激が伝わり、眠りを阻害します。

就寝前に音楽を楽しむのはいいのですが、聴きながら寝床に入るのはやめましょう。

また、就寝前に音楽を楽しむといっても、ハードロックのような興奮する音楽も交感神経の活動を比較的長く活発にしてしまうので、クラシックやヒーリングミュージックなど、ゆったりした音楽をかけ、音量もできるだけ下げたほうがいいでしょう。

 

寝る前にコーヒーは飲まない

受験勉強や深夜残業のとき、コーヒーを飲んで眠気を解消する人が少なくありません。

コーヒーに含まれるカフェインの覚醒作用によるものです。

それを寝る前に飲んだらどうなるか。

いうまでもなく、カフェインの覚醒作用によって交感神経は高まるばかりです。

しかも、コーヒーには利尿作用があるため、運よく寝つけたとしても、レム睡眠時に尿意をもよおして目が覚めてしまう可能性があります。

したがって、コーヒー好きの人でも寝る前に飲むのは控えたほうがよいでしょう。

 

寝る前の飲食はつつしむ

人間の身体は夜になると、副交感神経が優位になり、血液の流れを回復させて、身体の中の老廃物を排泄しようとする働きをします。

この時間帯にダラダラと食事をしながら夜遅くまでお酒を飲み続けていると、血圧上昇(高血圧症)、血糖の上昇(糖尿病)、心臓への負担(心不全、不整脈、狭心症、心筋梗塞)、脳への負担(脳梗塞、脳出血)、腎臓病の発症・進行、がん細胞の増殖をまねく怖れがあるので気をつけたほうがいいでしょう。

また、寝酒を習慣にしている人も少なくありません。

しかし、お酒を飲んだ後の睡眠は快眠(熟睡)にはつながりません。

なぜかというと、お酒の力をかりて眠るのは、「麻酔で寝ているのと近い状態」にあるからです。

麻酔は痛みや筋肉の異常な緊張を抑える薬物で、投与すると一見穏やかに眠っているように見えます。

しかし、脳そのものは休んでいないため、通常の睡眼時に起こるノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルも起こらず、脳と身体の疲れを回復する作用があまり得られません。

実際、深酒をして寝た翌日、しっかり眠ったようでも、朝、起きてみたら頭や身体が重かったという経験はありませんか?

それは脳内の不要な情報も処理されず、神経細胞も修復されていない証拠なのです。

第一、アルコールは依存性が高く、お酒を飲まないと眠れなくなったり、眠ってもすぐに起きてしまうなど、睡眠障害を起こす原因にもなります。

よって、寝酒はできるだけ控えるようにしてください。

ちなみに、お酒を飲み過ぎてしまったときは、そのままバタンと寝てしまうよりも、一度、酔いが覚めるのを待ってから寝たほうが、疲労回復の妨げになりません。

 

寝る前にタバコは吸わない

タバコにはタールやニコチンをはじめ、身体によくない物質がたくさん含まれています。

それだけではありません。

タバコを吸うと体内にあるビタミンCまでもが破壊され、減少してしまいます。

ビタミンCが少なくなれば、当然、免疫力も低下し、風邪をひきやすくなったり、他の感染症にもかかりやすくなってしまいます。

タバコのデメリットはそれだけではありません。

寝る前に吸うと、深い眠りを妨げることにもなります。

理由は二つ。

一つはタバコを吸うと、血管の収縮が起き、血圧と心拍数が上昇してしまうこと。

これは運動したのと同じ状態。

交感神経の活動が優位になるのはいうまでもありません。

もう一つは、タバコに含まれるニコチンはアドレナリンの分泌を促すため、脳を覚醒させてしまうこと。

しかも、ニコチンはカフェインよりも即効性があり、強力な作用があります。

これでは寝つきが悪くなってしまうのは当然のこと。

仮に寝つけたとしても、ニコチン切れによって、夜中でも目が覚めてしまうことがあります。

つまり、ノンレム睡がきちんと得られなくなってしまうのです。

ですから、「タバコを吸えばリラックスして、よく眠れるようになる」ということはありませんので、控えるようにしましょう。

 

さて、いかがでしたか。

今、あげた中で、皆さんにも該当するモノが一つや二つくらいはあったのではないでしょうか。

中には、「寝る直前にお風呂に入り、その後、冷えたビールを飲みながらスマートフォンをいじっている」といったように複数該当した人もいると思います。

だとしたら、これからは寝る直前にお風呂に入るのをやめ、その後、冷蔵庫からビールを取り出すのもやめ、スマートフォンをさわるのもやめにしてみてはどうでしょう。

そして、それを1週間、10日と続けてみませんか。

そうすれば、身も心も軽く、すっきりと目覚めのいい朝が迎えられるようになります。