「ストレスの逃げ道」を見つけよう

会社内でいじめが増えているという。

リストラの進行で、弱い立場にいる社員は気が気ではない。

組織の存続のために、どうしてもリストラが必要であるならば、公明正大にそのことを説明して社員の了解を求めるべきであろう。

陰でこそこそといじめて、本人が嫌気を催すようにしむけて辞めさせるというのは、恥ずべき行為だ。

だからといって、そうした動きもないのに、いつか自分がいじめられた揚げ句、リストラされるのではないかといつも不安に脅えて暮らすのは精神的によくない。

こうした不安が高じると、上司や同僚が自分だけをいじめていると思い込んでしまうといった精神状態に陥ることがある。

こうした精神状態になったとき、転職するのもひとつの方法だろうが、しかし、それでは問題の本質は解決したとは言えない。

むしろ、安易に転職することは、今の社会では破滅につながる恐れもある。

 

転職する場合は、友人や知人による口利きや紹介で、ということも多いことだろう。

孤独のうちに、何のあてもなく転職するというのは、現代では無謀なことになる。

ただ、コネで再就職したときには注意しなければならない。

またもや勤めてすぐに辞めたりなどすれば、友人や知人の信用をつぶすことになるからだ。

コネというのは、それを利用したときに一定の足かせを受ける。

もし、またもや退職して友人や知人の信用をつぶしてしまったら、もうその人たちとの関係は断たれる。

 

そこで、まず対策としては、やはり今の職場にいながら、ふだんから持っている不安感や不満を解消することであろう。

不満解消の方法は、一人でじっとこもって悩まないことだ。

不平や不満が溜まりそうになったら、それを何らかの方法で発散し、不満の内部留保を削減しておくことだ。

赤提灯(あかちようちん)で酒を飲みながら、「うちの課長は、なんという御都合主義なんだろう」「あいつは保身だけしか考えていない」などと次々と上司を非難する。

陰口はよくないものだが、こういうときの陰口は、日ごろから蓄積されている不満を発散して解消しようという本能的な行為ともいえる。

このおかげで翌日からまた元気に仕事ができるのである。

ただし、こういう場合でも、ふだんはあまり親しくない人、ウマがあわない人に盛大にグチを言ってはいけない。

相手に告げ口されるかもしれないし、または酔いが覚めたときそれが心配になって落ち着かない気分になるかもしれないからだ。

不満が心に固定すると、注意がそればかりに向けられてしまい、自分だけが苦痛の虜になっていると錯覚してしまう。

赤提灯で飲む酒や、空想以外にも、趣味などを利用して不満を解消することはできる。

そんな逃げ道を見つけることが、心に余裕を与え、対人関係をスムーズにしてくれるものである。

世渡りのうまい人や、いつも陽気で人を飽きさせず、人から信頼を得ている人は、たぶん、自己流のストレス解消法をいくつか持っている人なのであろう。

ただ、それをおおっぴらに外に出さないだけなのだ。