話し方の順番に要注意!最後のひとことで印象が決まる

同じことを話すにも、相手にいい印象を与える場合と、イヤな印象を与える場合があります。

そのポイントのひとつは、話す順序です。

 

例をあげますので、A部長とB部長を比べてみてください。

A部長「確かになかなか丁寧に作ってあるけれど、こんなに効率が悪かったら、会社の利益はないじゃないか。新人じゃあるまいし、もっと考えてやらなきゃダメじゃないか。困ったやつだなあ、まったく」

B部長「効率が落ちてるな。このままだと売り上げが落ちるのはわかってるよな。工夫してペースを上げるようにな。とても丁寧な仕事をしているキミのことだ。きっちりやってくれると期待してるぞ」

人の言葉というのは、最後のひとことが強い印象となって残るものです。

A部長のように最初にほめておいて、最後に感情的な言葉まで入れて怒ったのでは、部下には不快感ばかりが残ってしまいます。

おまけに、新人と比べられるイヤミと屈辱は、A部長への反感をつのらせることにもなります。

B部長のように、最初にいうべきことはいうけれど、きちんと評価し、そして、最後を「期待している」というやる気にさせる言葉でしめることによって、部下は自分を認めてくれていると思うものです。

部下は「自分の仕事がどう評価されているか」についてはもちろん気になるところでしょうが、同時に、A部長には快く思われていないと感じ、B部長には好かれていると感じることになります。

 

自分に好感を持っている人には好感を持ち、自分に嫌悪感を持っている人には嫌悪感を持つ、これは心理学では当然のことです。

ということは、「A部長は、私のこと好きじゃないんだ」と思った部下が、A部長のために積極的に何かしたいと思うことは期待できなくなります。

これでは、A部長自身が得をしないのです。

これを避けるためには、部下を注意したり、指導したりするときは、必ず逃げ場を作ってやること、適切な評価を与えること、そして、期待を込めた励ましをすることが大切なポイントになってきます。

「厳しいけれどいい上司」は、部下に感謝されて人脈もできますし、業績も上げ、自分が出世できる環境も整ってきますから、結果的に「得をする」わけです。

部下もまた、話の順序を間違えないように注意してください。

 

相手に謝罪するときによくやるのですが、先にいいわけをすると、怒りを買うことは覚えておくといいでしょう。

例えば、約束の時間に遅れて行って、契約を破棄された部下が、上司にその報告をしたとします。

上司が、「どうしたんだ?」と聞くと、

「事故渋滞につかまって、約束の時間に遅れてしまって、でも、たった十分ですよ。それくらいで契約しないなんて、誰も思わないじゃないですか。すいませんでした」と答えます。

これで、「よし、わかった」と、納得する上司はいないと思うのです。

一方、ある部下は、こんなふうにあやまったとします。

「もうしわけありませんでした。私の読みが甘かったのです。事故渋滞でわずか十分の遅刻とはいえ、先方を怒らせてしまったわけですから、明日またうかがって、謝罪してきます」

上司の立場としては、素直に許すわけにもいきませんが、「そうか、今後はもっと余裕を見て出かけろよ。しかたないな、明日はオレも一緒にあやまりにいってやるか」

と、気持ちのありようは、前者とはだいぶ違ってきます。

両者とも、報告内容はほぼ同じです。

ところが「話の順序」が違うだけで、その受け取られ方は、こんなに差が出るのです。

同じ謝罪にしても、どうせなら、相手に与える印象が「自分の得になる」ようにしたほうが賢明ですね。