便利な言葉「がんばれ!」が、人を苦しめる
「がんばる」という言葉は、教育現場やメディアで多用されるからでしょうか、世の中全般においても使用頻度は高いようです。
それだけ「便利な言葉」ともいえます。
知人が何かをするときに「じゃ、がんばって」といえば、私はあなたに気をつかっていますというメッセージにもなります。
残業する同僚に「がんばって」、スポーツ選手に「がんばって」、テスト前の子どもに「がんばって」、と。
けれども人は、いつもがんばり続けていたのでは疲れてしまいます。
子どもの頃から猛勉強してきた人は、社会人になる前に疲れ切ってしまうこともあります。
リトルリーグからがんばりすぎたピッチャーは、高校野球でピークを迎え、プロに入ったらすぐに故障してしまう例もたくさんあります。
猛烈に働くサラリーマンも、がんばりすぎて心身ともに疲れ、体調を壊し、ひどいときには自殺に追い込まれることもあります。
がんばることは大切ですが、人は、抜くときは抜かないと心も体も保たないようにできているのです。
うつになる人が増えていますが、彼らにいってはいけない言葉の代表が「がんばってー」だといわれています。
うつになるような人は、自分なりにがんばっているわけです。
だからうつになったという側面もあるのですが、その人にがんばれというのは、「もっと、うつになれー」といっているようなものです。
「がんぱれ!」というのは、精神論です。
「精力的にやれ」という意味でしょうが、それは同時に相手にプレッシャーを与えているだけで、具体的な方策を提示しているのではありませんから、相手を向上させるための助言にはなっていないのです。
部下や同僚、家族や友人に対して、応援するのであれば、「この部分に気をつけたらいいんじゃない?そうしたら、きっとうまくいくよ」と、ある程度、的を絞ったアドバイスをしながら、明るい未来が開けているような言葉を投げかけるといいでしょう。
自分から「がんばろう」とする人には、「きっとうまくいくよ!」「期待して待ってるよ」というようなメッセージを送るのがいいでしょう。