五十代の趣味はこうありたい

趣味といっても

①相手ないしは仲間を必要とするもの

②一人で楽しめるもの

③天候に左右されるもの

④雨でも楽しめるもの

などがある。

 

もちろん、このうちのどれかでなければいけないというものでもなく、多様な楽しみ方があっていいわけであるが、たとえば若い頃から野球やサッカー、ラグビーなどの団体競技に自信のあった人は、これを五十代からの趣味として続けるのは難しい面もある。

メンバー、グラウンド、天候、それにメンバーが集まったとしても、相手チームを探さなければならないなど、手軽に楽しむことが離しいからである。

もっとも、大学や社会人の正式な運動部に所属していて、五十代になってからもOBとして後進の指導をするような人は別であるし、そうでなくても「見て楽しむ」のはいくらでもできる。

しかし、一般には五十代からは相手やメンバーがそろわなくても、一人でも、そして雨の日でも楽しめる趣味を一つや二つはもっておいたほうがいい。

読書、絵画、彫刻、陶芸、書道、詩歌、俳句などがその一例である。

 

これと並んで、戸外で楽しめるもの、身体を動かすものがあったほうがよい。

健康管理の点からも、身体を動かさずにいることは、カロリーの消費量が足りず、精神的ストレスもたまりやすいからである。

また、晴れた日にアウトドアで身体を動かす趣味を楽しみ、雨の日はそれをまとめたり、整理する時間に充てるのも楽しいものだ。

私の知っているある高齢者は、晴れた日はスケッチブックとカメラをもつってスケッチをするとともに、スナップ写真を撮ってくる。

そして、天気のよくない日には、そのスナップ写真を参考にしながら、スケッチを仕上げていくのである。

このような楽しみ方は、楽しさを二倍、三倍と増幅させる働きがある。

 

その場かぎりの楽しみで終わらせないコツ

旅も、こういう楽しみ方ができる。

旅はそれ自体もちろん感動的なものであり、大きな楽しみであるが、その時の写真や記録や地図やガイドブックなどを後で整理しながら、もう一度楽しめるところがよい。

出かける前に下調べをするという楽しみ方もあるが、これをあまり入念にやりすぎると、どんな名所へ行って案内をされても、「ああ、そうか」ですまして、ガイドブックの確認をしにきたような結果になって、かえっておもしろくない。

だから、旅に出かける前はアウトラインをつかむだけにして、あまり綿密な計画は立てないで出かけることをお勧めしているわけである。

海外旅行の楽しみの一つは、外国の友人との英文による文通である。

事前の連絡、帰国後は滞在中に感じたこと、お礼などを述べて、撮影した写真を同封して送ってあげる。

すると、また返事が届く。

こんなことをするだけで、けっこう忙しい。

ある上場会社で役員に推薦されながら、これを辞退してフリーとなり、夫婦二人で年一回海外旅行を楽しんでいる方があるそうだ。

この人によれば、事前事後の連絡やお礼、まとめをしていると、忙しくて時間の経つのを忘れるそうだ。

「役員を辞退してよかった」というのは、けっして負け惜しみではないだろう。

必ずしもこの人の真似をする必要はないが、旅は確かに動的な楽しみと静的な楽しみを併せもつ、幅広くかつ奥行きの深い生きがいとなるものであろう。

が、海外旅行は前にも述べたように、年をとるにつれて制約も多くなる。

気候、環境、食事の変化は、少なからず負担となるからである。

五十代に仕事や家庭が一区切りを迎えたところで、少しまとまった休暇をとって、海外旅行に出かけ、これまでの人生や自分の生活を見直すことは、非常に有意義なことである。

そして、結果としてそれが文化交流や国際親善のお役に立ったことである。

海外旅行にかぎらず、国内旅行でも、あるいは日帰りのハイキングやタウン・ウォッチング、バード・ウォッチング、いや自宅周辺の散歩でさえも、工夫次第で深い楽しみ方ができるのである。

 

そして、これからは、

他人とはちがう、一味ちがった楽しみ方を研究してみてはいかがであろうか。

そのヒントについては、次項以降で研究することにしたいと考えているが、何をするにしても、その場かぎりの楽しみ方で終わらせず、何らかの方法でメモなり記録をして、フォローする。

これが楽しみ方のコッといえそうである。