世の中には、たしかに「アイデアひとつで大金持ち」という人がいるのだろう。

あるいは「宝くじで億万長者」という人でもいいが、そんな夢を見ている人は多い。

まあしかし、「大金持ち」が、そんなにいいものなのかどうかは、なってみないことにはわかるまい。

案外、憧れるほどのものではなかった、ということになりはしまいか。

 

よく、「そりゃあ、お金は、ないよりあったほうがいいに決まっている」というが、本当に「決まっている」のかどうか。

なまじ「大金持ち」だったために犯罪に巻き込まれ、不欄な人生を歩んだ人は数えきれないほどいる。

もしかしたら、お金なんかないほうが、すこやかな人生を歩めるかもしれないという想像も働かせてみてはどうか。

自分の将来がグンと明るくなるかもしれない。

「お金さえなければ、殺されるほど誰かに妬まれることもあるまい」

「お金さえなければ、誰かにケチなやつと思われることもないだろう」

などと想像すると、人づきあいがとても楽しく感じられて、生きていく希望とエネルギーが湧いてくるではないか。

 

雑誌などで「アイデアひとつで大金持ち」というような記事を読むと、すぐに「自分もアイデアを考えよう」と、まことに気の早い人がいる。

しかし、こういうことは、改めて頭で考えるようなものではないと思うのだ。

ああでもない、こうでもない、、、

と考え続けるよりは、目の前の仕事を着々とこなし、ひとつひとつを積み重ねていったほうが、世の中に信用されて、いい人生を歩めるのではあるまいか。

というより、それが充足した日々を送っていく「早道」だろうと思う。

「いいアイデア」というものは、あることにわれを忘れて没頭しているときに、パッと「ひらめき」があって生まれてくるものだろう。

頭を使っているつもりになって、ウンウンとうなっているときには、平凡なアイデアしか生まれないものだ。

「目の前の仕事」にわれを忘れて没頭しているうちに、思いもよらない「ひらめき」が出てくることもあるだろう。

それが、本当の「アイデア」だ。