あなたの会社の上司とうまく話し合っていますか?

~苦手な上司こそ頼りになる~

他人に好かれる人になりたいが、なかなかなれないという悩みを持っている個人にアドバイスするとしたら、「まず、あなたが相手のことを好きになってみなさい」ということだろう。

これは逆転の発想だ。

人に好かれたいのに好かれない人は、多くの場合、相手に対して、こちらを好きになってほしいという要求を一方的に投げつけているだけのことが多い。

しかし、それでは相手はなかなかこちらを振り向いてくれない。

それよりもまず、こちらから相手のことを好きになって、好意を振り向けてみる。

すると、自然に相手のほうもこちらのことが好きになってくる。

人間の心理の中には返報性の原理が働き、好意を抱く習性があるからだ。

ひと口で言えば、向こうから好意を示されたら、こちらも好意で応えようとする気持ちが湧いてくるということだ。

 

たとえば、あなたの職場に新人が入ってきたとしよう。

それまで社内でいちばん地位が低かったあなたに後輩ができたわけである。

その新人にすれば、あなたは社内にいる誰よりも身近にいる先輩ということになる。

そこでその新人は、わからないことがあったり、聞きたいことがあると、「先輩、ここはどうすればいいのでしょうか」などと何かにつけて聞いてくることだろう。

そういうふうに後輩社員から頼りにされると、あなた自身も悪い気がしないはずだ。

年下の者や、自分より地位が低かったり、経験の浅い人から頼りにされたり、持ち上げられたりするのは、自尊心をくすぐられて気分のいいことである。

そこで、その後輩が少しばかり物足りないと思えるような人間であっても、つい後輩の面倒を見てしまうのではなかろうか。

そのように、人から好意を示されれば、こちらも好意で返したくなるという返報性の心理が働くということだ。

会社員なら、ウマがあわない上司に好かれたいと思ったときは、今の逆をやればいい。

つまり、何かにつけて、「課長、課長」などと相談を持ちかければいいわけである。

課長としては、部下に頼られて、少しはいい気分になることだろう。

その結果、その課長は部下に対して、何らかの形で好意を振り向けるようになるはずである。

 

直属の上司に親しみを込めようとして、名前で呼びかける部下がいる。

しかし、上司としては、名前で呼びかけられるのは部下と対等のように思われて少しばかり気に入らないと思うことが多いものだ。

やはり、役職名で呼ぶほうが会社という組織の一員として尊敬しているという姿勢になるのでベターだろう。

そのように、人に好かれようと思えば、まずは自分がその人を好きになることである。

そして、もちろん、黙っていてはダメで、相手に対して「私はあなたを尊敬しています」という気持ちを示すような行動をすることである。

そうすることによって、目上の人との溝を埋めるきっかけがつかめるのではないかと思うのだ。