油断すると「筋肉は1年に1%減少する」

運動することの重要性は、もうひとつ「代謝アップ」の観点からも説明することができる。

糖尿病や高脂血症だった人の場合、糖質や脂質が多くなると、水に砂糖やサラダ油を入れたときのように、血液がネバネバ、ドロドロの状態になる。

そのため、血流が悪くなり、体内の臓器すべての物質輸送も滞ってくる。

 

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体には60兆個もの細胞があるが、その1個1個の間にも「流れ」がある

新たな栄養を各細胞に届け、そして戻る際、カス(老廃物)を運んでいってくれる。

その結果、いつも細胞内はきれいな状態になる。

この流れが「代謝」である。

そして60兆個の細胞1個1個で、1日何回も代謝が行なわれている。

ところが、この流れが滞ると、1個の細胞のなかに老廃物がどんどん溜められていく状態になる。

そして、体をメンテナンスするための栄養も各細胞にすぐ届けられなくなってしまう。

その結果、メタボリック・シンドロームや、ロコモーティブ・シンドローム(足の骨や筋肉節を中心とした運動器に障害が起こり、要介護になるリスクが高まる状態のこと)などを発症していくのだ。

これを改善するには、食事で糖質を制限することはもちろんだが、さらに運動を加えることで、その流れのスピードを上げていく。

 

運動しないと、体はどうなるか

20歳ころをピークとし、そこから1年に1%ずつ筋肉量が減少していく。

10年で10%減、20年で20%減だ。

とくに50代になると、意識して筋肉を鍛えないかぎり筋肉量がみるみる失われていき、基礎代謝量も落ちていく。

つまり、運動しないで座ったままというのは、肉体の健康を維持するうえで、いちばん避けねばならないことなのだ。

 

運動を急激にやりすぎるのもよくない

酸素が血液中に入り、筋肉胞に取り込まれて消費されるとき、たくさんの老廃物と二酸化炭素も残るので、それを排出するために体に普段以上の負荷がかかるのだ。

激しい運動をしすぎると、やがて「効用曲線」(運動から得られる効果)が、ある地点をピークに下降しはじめ、逆に老化が進むことになる。

だから運動は、やりすぎる必要はない。