過度なメール依存は、思いがけない行き違いを生む
ある新聞に、「成功する人はメールに一定の距離感を持って対応している」という記事があった。
その距離感が保てないと、仕事に支障が出るのだという。
記録が残るメールは、たしかにビジネスにとって便利なツールだ。
あくまでも便利だから使っているのに、かえって不便を呼び寄せている人もいる。
「メール処理」という仕事を増やしているのだ。
一日に何度もメールをチェックして、そのたびに、すぐに対応する「即レス」をしていれば、仕事のかなりの時間をメール処理が占める。
ホリエモンこと堀江貴文氏は、即レスすることで有名だったが、それは彼の仕事にとって必要だったからだろう。
多くの人の場合、ホリエモンとは仕事のやり方が違うはずだ。
パソコンに向かってキーボードを叩いていれば仕事をしている気になるが、メールそのものが売り上げを立てるわけではない。
したがって、メールチェックをする回数や時間帯を決めておくべきだろう。
私がパソコンを開いてメールチェックをするのは、せいぜい一日2回がいいところだ。
仕事場についてすぐと、帰る前にチェックすれば、それで十分だと思っている。
そのままメールで返事をすることもあるが、たいていは電話をかけてしまう。
細かいニュアンスなどを伝えるときは、絶対に話をしたほうがいい。
また、打ち合わせの日程調整など、何度もメールでやり取りするよりは、直接話して擦り合わせたほうが断然早い。
人間関係で大事なのはキャッチボールだ。
人は、自分が投げたボールが返ってこなければ不安になる。
注意しないと、メールはその不安を増幅する。
まだ社会人になったばかりの男性が、取引先にアポを入れることになった。
自分自身がメール世代だし、取引先担当者に時間を取らせては失礼だと考えて電話はやめた。
いきなりの電話は、相手も緊張するのではないかという配慮もあったのだろう。
担当者の名刺を見ながらメールを送った。
自分は新入社員であることや、上司と一緒に訪問させてほしいことなどを丁寧に書き記した。
しかし、二日たっても返事が来ない。
不安な気持ちで待ち続けたが、返信が来ないので、結局、電話をすることにした。
すると、思いがけない返答だった。
どうやら、相手は長いメールに目を通したものの、ただの着任挨拶と勘違いしたようなのだ。
メールを送って返事を待っていた新入社員の「この二日間の不安は何だったのか」という話だ。
メールには、意外とこうした行き違いが多い。
つくらなくてもいい距離をつくってしまうのがメールといえる。
アメリカ大統領を務めたリンカーンも「会って直に話すのが、悪感情を一掃する最上の方法である」と述べている。
・メールをあまり過大評価しない
・メール処理に仕事時間を占領させない
・本当に大事なことをメールですませようとしない
このようなことを心得ている人なら、きっとメールの恩恵を受けるだろう。
自分で、しっかりとした「メール・ルール」をつくっておくことだ。