体に溜まった「老廃物をきれいに消す」法
こうした運動習慣を始めたくとも、とにかく疲れているからとか、横になってゴロゴロしたい、あるいは早く寝たい、という人も多いかもしれない。
だが、じつはそんなときほど、少しだけ散歩をしたり、簡単な筋トレをし、ゆっくり入浴して体を温めてから深い睡眠をとるようにしたほうが、むしろ疲れも除きやすくなるのだ。
なぜなら人の体は、疲労すると心身の負担が増えて、自律神経のうちの交感神経が優位になり、血管が収縮して血流も悪くなる。
その結果、疲労物質の乳酸や、さまざまな老廃物が筋肉や内臓の組織に蓄積する。
だから、疲れた状態になるのだ。
しかし、運動によって体温が上がると、心身をリラックスさせる副交感神経の働きが高まり、免疫力が増強される。
疲れているからといつて、ダラダラ寝ていたりすると、体温が低いままで、活力も気力も湧かなくなる。
運動せずに水分を摂りすぎるのも体を冷やし、血流を妨げる原因になると言われている。
体温が上がらないと、脂質が燃えずに高脂血症になったり、血糖が燃焼せずに高血糖症、あるいは高血圧になる。
冷暖房の効いた室内で長時間デスクワークを続けたり、運動によって汗をかくことが少ないと、水分の排出がしにくくなり、そこに水を飲めば飲むほど、血流が悪くなる。
代謝も下がり、脂質も糖質も燃えなくなる。
まさに、かつての私がこの状態だった。
よく、水分を摂らないと血液がドロドロになり、血栓ができやすくなると言われるが、必要以上に水を飲むと体のなかに水が溜まり、体が冷えてしまう。
体温が1度下がると、約12%も代謝が下がると言われている。
大切なことは、運動などをして汗をかき、体温を高めて代謝させ、尿として排出させていく。
すると、体内の老廃物も排出できる。
まず、運動によって体温を高め、体内の余分な水分を排出していく。
そうして汗や尿などで余分な水分を排出した後に、必要な水分を摂る。
その量は、自分の体重の約30分の1と言われ、約60キロの体重の人なら約2リットルである。
水は飲まないより飲んだほうがいいが、運動しない人が、排出以上の水分を摂るといわゆる「水太り」の状態になってしまう。
その結果、体が冷え、代謝が落ちて、脂肪や糖質が燃えなくなってしまうのである。
こうした体の仕組みを考えると、いちばん正しい方法は、疲れたら運動や入浴で体を温めてから、冷たい水ではなく「ぬるま湯」を飲み、汗や尿として排出することである。
その後、また適量のぬるま湯を飲むのがいい。
こうして、50代に行なうべき運動について見ていくと、若いころにしていた運動とは、少し異なることに気づくだろう。
ただでさえ、公私ともに忙しい時間の隙間を縫って行なうだけに、運動の目的がハッキリしていて、効果も明確に出て、しかも短い時間に楽しくできるものがいい。