気持ちの「ちょうどいい加減」を知る
充実した人生を送ることができる人には、ある共通点があります。
それは、「気持ちを上手に切りかえることができる」ということです。
何かイヤなことがあったとき、辛い出来事があったとき、なんだか気分が乗らないとき……そんなときに、パッと気持ちを切りかえることができる人は、人生で「何をやってもうまくいく人」になれるのです。
とはいえ、人間関係でも、仕事でも、健康に関することでも、ほんのちょっとしたことで良くも悪くもなったりするものです。
ほうっておけば、その状態をずっと続けてしまうかもしれません。
ただ、私たち人間は、過剰に何かをすると必ず失敗する運命にあります。
この法則には誰も逆らえません。
人に干渉しすぎても疎遠になりすぎても快適な人間関係は築けません。
心や体は、ストレスを溜めすぎてもストレスがなさすぎてもダメになります。
ちょっとした「しまった」程度の誤りは誰だってよくあることですから、あとで修復するのはもちろん可能です。
問題は、大きく加減を誤ったり、誤っていることに気づかず、どんどん進行してしまう場合です。
そうなると、人生が180度暗転してしまうことさえあるのです。
そうなってから後悔しても、後の祭りです。
この後悔がまたタチが悪く、「自業自得」とスパッと割り切ることがなかなかできないかもしれません。
「後悔、先に立たず」とはよくいったものです。
何かをしすぎている状態のどこかの段階で心をちょうどいい状態に持っていく必要があります。
加減をちょうどいい程度にするのです。
それが、あなたの気持ちを切りかえて、人生をよりいい方向に導くきっかけになるはずです。
では、心配しすぎる、がんばりすぎる、気にしすぎる、怒りすぎる… 物事を過剰にやりすぎる状態にならないためにはどうすればいいか。
「さじ加減」です
「さじ加減」とは、元々は「クスリの調合の加減」の意味です。
それが転化して、今では、うまくいくように特別に加える「手心」「ひと工夫」といった意味合いで使われるようになりました。
「さじ加減」とは、ごく簡単にいえば、「モノやコトの取り扱い方のコッ」です。
何でも「やりすぎない」ように、あるいは「うまくいく」ように調整することで、これは、仕事、人間関係、食事、遊びなど、社会生活に関わるすべてのものが、その対象となります。
この「さじ加減」がうまくできるかできないかで、得をしたり、楽しくなったり幸せになったり……あるいはその逆になったりする。
つまり、これをうまくやることができれば、気持ちをいい方向にスッキリ切りかえることができるというわけです。
ちょっとしたことでいいのです。
「相手の言葉に、今までよりもうちょっと真剣に耳を傾けるようにしただけで、驚くほど人間関係がスムーズになった」
「朝と夜、たった三分ほどの健康体操を始めたら、体調が良くなり、疲れをあまり感じなくなった」
「小遣いのうち、月一万円を好きな本や映画、音楽の趣味に使うようにしたら、週末が楽しくなり、結果的に仕事まで充実し始めた」
これとは逆に、「さじ加減」を誤ったまま、気持ちを切りかえることができず、思わぬ結果を招いて辛い思いをしたことはないでしょうか。
「体力には自信があるからと、いつも深夜までパソコンとつき合っていたら、体が悲鳴を上げてしまった」
「酒に酔った勢いで仕事仲間を罵ってしまい、今までずっと築いてきた信頼関係を壊してしまった」
「このごろ体脂肪が気になるけど、まあ今日ぐらいはいいかと、つい調子にのって食べすぎているうちに糖尿病の一歩手前に……」
何につけ、「さじ加減」を誤っていいことはありません。
人生は「ちょうどいい状態」に持っていくことができるか、できないかで大きく変わる・・・だからこそ、コツを身につけることです。