いい人間関係を育てる「いいタネのまき方」
信頼するにたる友人がなかなかできないと悩む人がいる。
たしかに、心から信頼できる友人を得るのはむずかしいことだ。
考えてみれば人生には数多くの出会いがある。
学校時代に席を同じくした 同窓生だけでも何千人になるだろう。
仕事をしても旅行をしても、そこには必ず人との出会いがある。
だが、そのように数多くの人たちと出会っても、そのなかでことばを交わす人はごく一部にすぎない。
知人、友人とよべるようになる人はごくわずかで、本当の親友とよべる人は数人いればいいほうだろうと思う。
つまり、友人は雑草のようになんの手を加えなくても自然に生えてくるものではなく、自分で種をまいて水をやり、肥料をやらねば育たないものなのである。
魅力的な友人を得るためには、それなりの本人の努力が必要だということだ。
努力する人間は必ず魅力がある。
「信頼できる友人がいない」と嘆く人は、たいていの場合、この努力を怠り、自分の殻に閉じこもっているようだ。
自分から積極的に友人を得ようとするのではなく、自分の肩をやさしく叩いてくれる人を待ち望んでいるだけだ。
それで友人ができるのなら、そんな虫のいい話はない。
いい友人、多くの知人は、こちらから相手に近づいていく努力をしなければ決して得られるものではない。
では、どんな努力をすればいいかというと、やはり人が多く集まる場所に出かけて、多くの人と話をするのが早道だ。
私はどうやらパーティが好きなようだ。
少なくとも嫌いではない。
パーティにおよびがかかると、少々疲れていようが頑張って出席する。
風邪などをひいて体調が悪いときでも、立ちあがれないようなとき以外は行くようにしている。
あるとき所用で栃木県に行ったが、風邪をひいてしまい、早めに東京に戻ってきた。
東京駅からまっすぐに帰宅しようと思ったが、ふと手帳を見て、ホテルオークラでオリエント。
エクスプレスのパーティと映画上映があったことを思い出した。
別にパーティに出なくても、あとから宣伝のパンフレットを見れば、オリエント・エクスプレスについての一般的な知識は得られる。
しかし、このとき私は風邪を押してあえてこのパーティに出かけた。
自分の知識欲だけでなく好奇心を満足させたかったし、また行けば必ず一人や二人、新しい友人がふえるからである。
ちょっと体調がすぐれないくらいでみすみすそのチャンスを逃してたまるものか、という気持ちが先に立った。
こういう努力を続けてきた結果、私は友人をふやすことができ、人生を豊かにすることができたのだと思っている。
だいいち、その後私がオリエント・エクスプレスに乗るきっかけができたのもこのパーティでだったのだ。
あなたも、なにもパーティに出席しろとはいわないが、積極的にさまざまな会に出席してみることだ。
同好会やサークル、あるいはカルチャーセンターの講座などに通ってみるのもいい。
いろいろな場所に何度も足を運んで人と話をすることが、真の友人を得るきっかけになる。
食わず嫌いということばがあるが、黙って独りで考え込んでいるよりは、まずは、そうした積極的な努力をすることが必要なのである。
経験ほどだいじなものはない。
豊富な話題はすべて経験から生産されるといってよいくらいだ。
人間的魅力もまた同じである。