「年下との人間関係」が大事なとき
20代、30代では、同年代や年上との人間関係に重点が置かれていたはずだ。
特に仕事では、年上の上司や先輩から直接・間接的にノウハウや考え方を会得し、自分自身を成長させてきたのではないだろうか。
しかし、40代になれば、自分の成長だけではなくチームの成長、ひいてはチームの個々のメンバーの成長にも責任を負うようになる。
マネージャーやリーダー、管理職として、または経営者として活躍していくためには、どうしても年下との人間関係が欠かせなくなってくる。
それは、若いときに年長者に育ててもらうといったシステムの企業や社会に、その恩恵を受けた者として、今度は後続者を育てる義務を負っているともいえるだろう。
高い地位に就けば就くほど、高度なマネジメント能力が必要となる。
年下との人間関係が貧弱な場合、下の人に支持されなかったり、孤立したりするだろう。
部下や後輩の相談にのったり教育したりするのは、自分には何のメリットもないただ働きと考えるのは間違いだ。
後輩との人間関係は上司である自分の成長にも直結しているのである。
後輩に指示や助言をする場合、もしいい加減なアドバイスをして、それが役に立たなかったり逆効果になったりしたら、能力のない先輩だと格印を押されるだろう。
リーダーという立場ならなおさら、メンバーはあなたの命令を真剣に受け取らなくなってしまう。
的確なアドバイスや指示ができるようになるためには、物事の本質を深く考えたり流れやタイミングをうまく読み取ったりする洞察カとともに、相手に自分の意思を正確に伝えるコミュニケーション能力が必要になる。
何度も話しているように、これらはどちらも、40代に求められる必須の能力だ。
後輩を育てるという行為を通して、これらの能力に磨きをかけることができるのだから、まさに後輩に育ててもらっていると言っていいだろう。
マネジメントスキルをアップさせるためには、こうした年下との人間関係が不可欠だということを理解している人が意外と少ないのは残念なことだ。
また、自分の言動も後輩に示しとならなければならない。
そのために、自分自身の行動を反省して襟を正すようになるだろう。
まさに、人に教えることによって自分が成長するのである。
もうひとつ忘れてはならないのは、あらゆる方向にネットワークをめぐらせておくことではないだろうか。
情報やチャンスは、上下左右につながりのある人のところに集まってくるものだ。
年長者だけでなく年下や同年代とのネットワークが多い人ほどよい成果をあげる所以(ゆえん)である。
年下との人間関係を築くことは、自分自身を成長させ、より多くの情報やチャンスを得ることを可能にするのである。