「思春期の子ども」との上手なつき合い方
思春期の必要性について頭でわかっていても、実際に反抗的な子どもを前にするとその対応は難しい。
たとえば子どもがわざと悪い言葉を使い始めたり、制服をだらしなく着ているのを見たら、親としては注意せざるを得ないだろう。
しかし、思春期の子どもは親の注意をそれまでのように素直に聞き入れない。
「うるいな」「説教しないでよ」などと反発するだろう。
そうなればついカッとして、「いつからそんなに悪い子になったの」とか「そんなことじゃロクな大人になれないからね」といった否定的な言葉を投げつけてしまいがちだ。
しかし、親が強く圧力をかければかけるほど、思春期の子どもは反発を強めてしまう。
かといって、「思春期だから気がすむまで放っておくしかない」と考えるのもよくない。
放置はある意味「無視」と同じで、子どもを一人の人間として見ていないことに通じるからだ。
たとえ思春期の真っ只中であっても、人生の先輩として、別人格の大人として、子どもに正しい社会規範を伝えていく義務がある。
では、どうやってそれを伝えたらいいのか。
まず、小さな子どもに注意するような言い方はいけない。
たとえば悪い言葉遣いを直させたいと思うのなら、「悪い言葉を使ってはいけません!」と言うのではなく、「悪い言葉は人を傷つけるし、あなた自身の価値も下げてしまうよ。使わないほうがいいんじゃないかな」という具合に伝えればいいだろう。
前者のように 「禁止」の意味合いが強いと、子どもは親から支配された、ねじ伏せられたと感じて反発したくなる。
でも、後者の言い方なら、自分を一人の人格として認めたうえでのアドバイスなので心に届きやすいのだ。
思春期の子どもと接するときのポイントは、上から目線をやめて、対等な立場の存在として扱うことである。
しかし、世の中には子どもの変化・成長を受け入れられない親も存在する。
そういった親たちは、子どもが自立しようとすると悲しい顔をしたり、病気になって寝込んだり、強い不快感を示したりする。
すると子どもたちは、思春期や自立に対して罪悪感を持つようになり、いつまでも親から離れられなくなってしまう。
また、両親の不仲が深刻な家の子どもも「自分が自立したら、両親は本当にばらばらになってしまう」と考え、いつまでも子どものままでいようとするケースがある。
すると、体だけが大人になっていくのに精神的には自立できないため、心を病んでしまうのだ。
つまり、思春期は子どもの成長だけを意味するのではなく、「子どもの自立を受け入れられる大人」になるための、親の成長時期でもあるのだ。