ご飯をたくさん食べる人は「老化も早い」
50代になって、最優先で実践すべきことは「肥満からの脱出」である。
若いころの肥満と、中年以降の肥満とでは、じつは太る場所が異なる。
若いころの肥満は、皮下の脂肪細胞に体脂肪が溜まる「皮下脂肪型」である。
ところが、中年以降になると、次第に内臓周りの脂肪細胞が体脂肪を取り込んで肥大化してくる。
これが「内臓脂肪型」と呼ばれる中年太りを引き起こす。
脂肪細胞は、アディポサイトカイン(生理活性物質の総称)を分泌し、高血圧、糖尿病、動脈硬化の発症や予防に関係していることが近年わかってきた。
アディポサイトカインには、アディポネクチンと呼ばれる善玉物質と、生体に対して悪いほうに働くTNF -αやインターロイキン – 6といった悪玉物質がある。
健康な人は、善玉物質のアディポネクチンがインスリン・ホルモンを効率よく動かせてくれる。
さらに、脂肪細胞を燃焼させる酵素の働きも活性化してくれる。
ところが生活習慣の乱れがポッコリお腹の肥満を引き起こし、脂肪細胞からアディポサイトカインが過剰に分泌されると、急に悪さをするようになるのだ。
とくに内臓周りに過剰に溜まった体脂肪は、脂肪細胞に入りきらずに壊れて、血液中に悪玉物質を放出するようになる。
その結果、血糖値が下がらなくなるため、血管内皮がどんどん傷つけられる。
逆に、インスリンと協力して血糖値を下げてくれる善玉物質は減少して、空腹時でも血糖値が高くなる。
この状態が続くと、膵臓が頑張ってインスリンを出しても血糖値が下がらなくなる。
これが医学的に「イン スリン抵抗性が高まる」状態だ。
やがて膝臓が疲れ果ててダウンし、食後高血糖、高血圧が起こる。
さらに糖尿病、高脂血症、動脈硬化、脂肪肝と、まるでドミノ倒しのように悪い連鎖が続いていく。
そのメタボリック・ドミノの最初にあるのが、生活習慣の乱れから始まる「肥満」、すなわち太ることなのだ。
本来、脂肪を溜め込むのは肝臓だが、脂肪がつきすぎて脂肪肝になると、血液中に脂肪がどんどん流れ出し、やはり血栓の原因となる。
こう考えると、中年以降の肥満はけっして健全な状態ではなく、むしろ「病気」であると考えたほうがいいのである。
肥満は、病気であると同時に「肉体の老化」を確実に早める。
太っている人の寿命が平均値を下回っていることは、医学上の統計でも証明されており、肥満は老化を早めることがわかっている。
人は、健康な生活を送っていたとしても、1年に1歳ずつ年を取り、死へと近づいていく。
この大きな流れがエイジング(加齢)である。
アンチエイジングという言葉があるが、これは「抗加齢」などと訳されるように老化に抗い、若返ることである。
だが、アンチエイジングの前にやらなければならないのは、老化を止めること。
つまり、「ストップエイジング」である。
老化の流れを食い止めるためにも、まずは、「2つの食習慣」をぜひ身につけてほしい。
1つは、「糖質制限」、もう1つは、体に必要な栄養を摂取しつつカロリーだけを落とす「カロリス」である。