魚をよく食べる人は心筋梗塞になりにくい訳がある!!
魚の脂肪酸は肉とかなり異なっている。
脂肪酸というのは脂肪の構成成分で、グリセリンに脂肪酸が3個結合して脂肪がつくられる。
魚の脂肪酸は、イコサペンタエン酸(IPA、EPAともいう)やドコサへキサエン酸(DHA)といったものが主体である。
中でもDHAは、血管の収縮を緩め、血液の中の成分である凝固因子の血小板の凝集を抑制する作用がある。
血小板の凝集が血管内で起こると血栓を生じ、その結果、心筋梗塞や脳梗塞が起こることはよく知られる。
このIPAやDHAの働きはもともと、あまりよく知られていなかった。
それが知られるようになったきっかけは、動物の肉を多食する地域では心筋梗塞が多いのに、北極圏に住み、動物性の肉を多食するイヌイットには、ほとんどそれが見られないことが発見されたことからである。
調べてみると、彼らが食べているオットセイやアザラシのような北の海に生息する動物の脂肪は、いわゆる牛肉などに含まれている脂肪の成分とはまったく異なることが分かった。
これらの海にすむ獣の脂肪には、魚の脂肪分の構成成分であるIPAやDHAが多量に含まれているのである。
海獣は、主として魚を食べている。
したがって、その脂肪は、そのままこれらの動物の脂肪として体に蓄えられる。
つまり、海獣の肉を主に食するイヌイットは間接的に魚を多食しているのと同じであることが分かった。
そのため、IPAやDHAの効果によって梗塞が起こりにくいことが判明したのである。
その後、漁村で魚を常食にしている地域にも心筋梗塞が少ないことが判明し、魚の脂肪に含まれる脂肪酸が血栓を防止するのに役立つことが裏づけられたのである。
魚の脂肪酸は、植物油に多く含まれるリノール酸とはまったく違う系列のものである。
魚の脂肪酸はn-3系とよばれるが、一部の例外(オリープ油、菜種油、ゴマ油、米ぬか油など)を除いた植物油のリノール酸はn-6系と呼ばれているもので、これらの脂肪酸は、体の中でお互いに変換することができない。
つまり、IPAやDHAのようなn-3系の脂肪酸をとろうと思えば、魚を食べることが一番簡単なのである。
そこで、血栓を防止し、心筋梗塞や脳硬塞も防止するには、日常、魚を食べる必要かあるが、日本の食生活では魚離れが起こっている。
とくに、昭和45年頃から、魚と肉の摂取量が逆転した。
今では、肉の摂取量は過去の魚並みになり、反対に魚の摂取量は過去の肉並みになっているのである。
これは大きな問題で、心筋梗塞や脳梗塞が増加する危険がある。
意識して魚を食べることが大切だ