苦手な相手〜緊張感、普戒感を軽くするには
どうしたら自分とそりがあわない人間とうまくつきあっていけるのだろうか。
結論からいえば、これについては最善の方法はない。
というのも、だれとでも仲よくつきあうための方法などあろうはずがないからだ。
ただし、ベターな方法はある。
それは、まず相手のことを充分に知ることである。
もし、あなたの上司が、あなたとうまがあわなかったり大嫌いなタイプの人間だったりしても、その感情を、他のすべての人たちとつきあうときに押し広げてはいけない。
要するに好き嫌いを、あなたと上司の関係に特定して考えることだ。
不特定多数のみんなと仲よくする方法はないが、特定の相手と仲よくすることは、そんなにむずかしいことではない。
相手が限定されていれば、それなりの対策を立てられるはずなのだ。
それに、その上司は、たとえあなたとはうまくいっていなくても、他の人とはなんとかうまくいっているかもしれない。
だから、あなたも努力すれば、その仲間に入れないとはいえないわけである。
そこでどんな努力をするかというと、まず、そうした上司との関係がうまくいっている人の意見を聞いてみることだ。
よく知らない相手に対しては、人間は防御本能が働いて警戒する。
初対面で気心の知れない相手と会ったときに緊張感を覚えるのはそのためだ。
この警戒心を解かずにそのままにしておくと、相手とは気心が知れない仲になってしまう。
だから、まず相手のことを充分に知れば、それだけ相手に対する警戒心が薄れていく。
人間をこんな例にたとえるのは語弊があるかもしれないが、私は蛇が大嫌いだ。
しかし、もし私がどうしても蛇とつきあわねばならないはめに陥ったときには、私は蛇を徹底的に研究するだろう。
蛇に関する本を読んだり、動物園に行って日がな一日蛇をじっくり観察したり、あるいは蛇好きという人に会って、蛇の習性や魅力について話を聞くことだろう。
そうすれば、たとえ蛇とそりがあうようにならなくても、少なくともなんとか蛇とつきあっていくことができるようになることだろう。
どんな人間だって、長所があれば欠点がある。
場面が変われば欠点が長所になることもある。
今あなたが嫌いだと思って見ている相手の欠点も、角度を変えて別の面から見れば長所に思えるかもしれない。
だから、どんな人間でも、一応は会って取材して情報を集めておくことが必要だ。
取材もなしに相手を判断するのは間違っている。
人間に関するデータは、集めて集めすぎることはないのである。