最近、風邪について
⇒ 一か月に二度も風邪をひいた。
⇒ 一度風邪をひくとなかなか治らない。
⇒ すぐに人の風邪がうつってしまう。
と感じている方も少なくはありません。
そもそも風邪は、はしかやおたふく風邪と同じウイルス感染です。
でも、はしかやおたふく風邪に一度かかると二度とかからないのに、なぜ風邪だけは何度もひき、何度もうつされるのでしょうか。
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風邪をひきやすい原因は免疫システムと異変したウイルス
これには免疫の作用の一つである、白血球の抗原抗体反応が関係します。
ウイルスなど小さな異物が体に侵入するとマクロファージからリンパ球のT細胞とB細胞に、異物を抗原と認識し、抗原と闘う抗体に指令が出されます。
この作った抗体で抗原と闘う身体の防衛システムが抗原抗体反応です。
こうして闘うことで、抗原の記憶はリンパ球に残ります。
はしかやおたふく風邪でこの抗原抗体反応が起きたときには、はしかやおたふく風邪のそれぞれのウイルスの型がリンパ球に記憶されます。
そのため、再び同じ型のウイルスが入ってきたとしても、記憶に従って直ちに大量の抗体が作られて、二度目はかかりません。
ちなみに、人為的にこうした抗体を作ったものが、おたふくや、はしかの風邪ワクチンです。
風邪のウイルスでも、一応はこの反応が起こります。
ところが風邪のウイルスには膨大な種糎類があり、そればかりか風邪のウイルスは遺伝子が小さいために変異を起こしやすい性質もあります。
これを「抗原変異」といい、ウイルスが抗原変異を起こして、型が異なったウイルスに変身してしまうと、以前に記憶した抗原とは違うものであると認識されるので、ウイルスと闘うことができません。
また、抗原変異により感染力まで強くなり、だから私たちは何度も風邪をひき、人から風邪をうつされるわけです。
風邪に免疫力が通用するためには
かかったときのその人の免疫力次第でカゼをひく回数や、治りの早さは違ってくるのです。
頻繁に風邪をひく状態や風邪の治りが悪い状態は、食生活が乱れたり、睡眠不足だったり、休みがとれないなどストレスが原因で交感神経緊張状態になっているときです。
交感神経が緊張して頼粒球が増えたことでリンパ球が減り、リンパ球が減って免疫力が低下したことで風邪のウイルスに感染しやすくなって、治ったと思ったらまたカゼをひくことになります。
漫然と風邪をひき続けるのでは、免疫力が低下したまま生活していることに。
長く続くといつかは風邪だけではすまなくなり、風邪が万病の元になります。
風邪薬は治癒反応を邪魔するものだった
風邪を何度もひく、長く風邪が治らない要因には人為的な要因もあるのです。
風邪のウイルスと闘うのは白血球のリンパ球で、リンパ球はウィルスを選別することから始めますが、熱が出る前の風邪の潜伏期間というのが、リンパ球がウイルスを選別している期間なのです。
選別を終えたらリンパ球はウイルスを抗原と認識し、ウイルスの活動を邪魔する抗体を作って捕まえるわけですが、この捕まえている証が、発熱、鼻水、のどの炎症、倦怠感、頭痛、腹痛などのカ風邪の症状です。
どれも本人にとってはつらい症状なのですが、これは副交感神経の行う治癒反応で、免疫としての反応なので、これらの症状なくしては風邪のウイルスには勝てません。
例えば風邪の熱の場合、リンパ球が最も力を発揮できる温度があり、体温が38~39度くらいのときが活躍できる温度で、36度程度の平熱ではリンパ球はウイルスとべストな状態で聞えないのです。
感染したウイルスと聞うために、高熱が出ることが不可欠だとわかるでしょう。
風邪の初期に、ゾクゾクッと寒気がしますよね。
あのゾクゾクッから始まる、風邪かな?の瞬間は、リンパ球がべストな状態でウイルスと闘うための「いかん、いかん、もっと温度を上げなければ!」という最初の欲求で、いわゆる武者震いなのです。
その証拠に、熱が上がり切ると寒気は消えて、リンパ球がウイルスと闘った後には汗が出て、体の熱を下げていきます。
そして、風邪は治っていくのです。
そうなると、先回りをして、せっかく出た熱を解熱剤で一気に下げてしまうのは治癒を妨げる行為になり、免疫力を下げていることになります。
免疫力の低下が風邪の治りを遅らせ、新たな風邪にかかりやすい体を作ってしまうのです。
また、熱だけでなく、鼻水やセキ、倦怠感などの風邪の症状も免疫の治癒反応なので、そもそも風邪薬で抑えなければいけないものではありません。
もちろん、小児や高齢者の高熱による体力の消耗や酸素不足によるけいれんなどの心配もあり、風邪で解熱剤を用いるケースもあります。
その場合でも一気に下げるのではなく、解熱剤で体温を一度下げる程度にし、薬でカゼの症状の2~3割を改善することを目的とすべきで、あとは安静にすれば快方に向かいます。
風邪を長引かせたくないなら、身体を温かくし睡眠をとって安静にすることです。
そうすることで副交感神経が優位になり、リンパ球が活性化すれば、免疫が正しく働いてちゃんと風邪を治してくれます。