「親の介護」に不安を感じてしまうとき
世界一の長寿国日本だから、子ども世代にとっては、親の介護は心配の種だろう。
そのため、40代の人たちが顔を合わせると、「ご両親は健在ですか?」「もう介護をなさっているんですかっ」などといった会話が日常的に交わされる。
なかには、まだ親が健康で自立しているにもかかわらず、「親が寝込むようになったらどうしょう」「義姉は遠くに嫁いでいるし、長男の嫁である私が一人で介護をしなくちゃいけないんだろうか」などと不安で胸がいっぱいになり、不眠症や食欲不振に陥る人もいる。
たしかに親の介護は簡単ではない。
一人ひとりパターンが異なるし、一般の病気と違って精いっぱい介護をしても、めきめき元気になることはない。
なかには自身のつらさを介護する子どもにぶつける親もいる。
だからこそ、親の介護に不安しか持てない人が増えているのだが、そういった人のなかには、「やたらに不安を抱えている人」も少なくない。
まだまだ十分に足りているとはいえないかもしれないが、日本には高齢者の介護を支えるための法律や条例、施設などがあり、高齢者の状態に合わせてサポートを受けられるようになっている。
超高齢社会を迎えた日本では家族が介護によって共倒れになったり、一人だけに過剰な介護負担がかからないような、さまざまな取り組みがなされているのだ。
「転ばぬ先の杖」という諺に倣い、親の介護が必要になる前に、どんな介護サービスが受けられるのか、金銭面ではどんな補助を受けられるのかなどを調べてみてはどうだろう。
少なくとも、漠然とした不安は解消できるはずだ。
また、高齢者の介護サービスについては、かなり状況が悪くなってからでないと受けられないと思っている人も多いのだが、要支援・要介護になる恐れのある人に対しても「介護予防」としてのサービスが受けられるようになったのをご存じだろうか。
これはデイサービスなどを利用して、脳や筋力トレーニング、口腔ケアや栄養指導などが受けられるもので、高齢者の引きこもりや認知症予防に高い効果をあげている。
また、こういった場で友だちの輪が広がり、日常生活に張りが生まれたという高齢者もけっして少なくない。
ただし、これらのサービスは誰かがお膳立てしてくれるものではない。
自己申告や手続きが必要なのだ。
知らなかったために適切な介護を受けられないのでは、高い保険料を納めている意味がない。
多くの人が利用し、必要とすることによってサービスはより充実する。
だからこそ、積極的に介護について知ってほしいと思うのだ。