言い訳、より謝ること、を優先しよう
自分が本当に間違ったことをしてしまったとき、わかりきっていても、素直に謝ることは難しい。
たった一言、「ごめんなさい」と言えば、相手だってわかってくれるはずなのに、なかなかその一言を発することができない。
仕事上でミスをした、友達との約束をすっぽかしてしまった、人の気にしていることを言ってしまった、決まりを破ってしまったときには、まず謝るのがいい。
言い訳はあとでいいのだ。
これが肝心だ。
友達や恋人、家族などの親しい間柄の人には、
「ごめんなさい」
と謝る。上司などには「ごめんなさい」ではなく、
「申し訳ありませんでした」
「私の不注意でした」
と断る。こうして、まず謝ることで、誠意をあらわし、なぜ、そうなってし
まったかの事情については、そのあとで簡潔に説明すればいい。ここでくどく
ど説明をすれば、それがたとえ正当な理由をもとにした説明であっても、相手
には言い訳としか聞こえないから逆効果だ。
謝ることは、相手に対する尊敬のあらわれでもある。
だからこそ、言い訳よりも「ごめんなさい」を優先させるべきだ。
言い訳は自分の身を守るためにするものだが、謝罪は相手を尊敬して言うことだ。
そのどちらを優先させるかは、相手との信頼関係にも大きく影響する。
言い訳が先に出るようなら、「この人は自分の保身ばかりを考えている」と思われてしまうのだ。
しかし、言い訳がうまくできることは、人生の知恵でもある。
つまり、精神的に成熟していないと、言い訳も言えないという説がある。
たとえば、子どもはあまり言い訳をしない。
これはまだ論理的な思考回路が整備されていないために、高度な論理操作ができないからだ。
子どもは自分の要求が通らないときには、単に「ほしい」と叫び続けるだけだ。
子どもは、これ以外の要求の通し方を知らない。
大人になって精神的に成熟すれば、自分の希望や要求が満たされなか ったときや、自分が失敗してしまったときに、自分の行動を正当化する論理操作ができるようになる。
これが言い訳が生まれる母胎だ。
さらに、年齢を重ね、人生経験を積むにしたがって、言い訳のバリエーションを多く持つようになる。
それは学習によって会得したものや、自分で編み出したものもある。