クレームは「あなた」ではなく、「私」を主語にする

多くの従業員がいる職場であればあるほど、個性的というべきか、癖のある人というべきか、ちょっと困った人の割合も高くなってゆきます。

どこが困るのかといえば、規則を守らなかったり、モラルに欠けていたり、 小さなことではあるけれど、逆に、こんなこともできないのかと、腹立たしくなることもありますね。

取引先に一緒に行くことになっていた同僚が、待ち合わせに遅刻してきたとします。

先方に迷惑をかけるわけにもいかず、とりあえずひとりで出向くと、あとから同僚が悪びれたふうもなく現れて、平然としています。

先方は、自分が約束の時間通りに来ているから、笑ってすませてくれてはいますが、どうにも納得がいかないのです。

こういう理不尽なことは、気にしていたら切りがありませんが、黙って見過ごすわけにもいきません。

「あなたは、自分のしたことがわかってるのか。社会人としての自覚を持って、しっかりしてくれないなら、私は、あなたとは一緒に行動しない」と怒りたくなるのも無理からぬことですが、これはたいていの場合、逆効果に終わります。

というのは、このようなタイプの人というのは、「こんなことで本気で怒っちゃって人間が小さいねえ」などといって、自分の責任など気にしないのがオチだからです。

ではどういえばいいかというと、それは「あなたは間違ってる!」というように相手の非を責めるのではなく、「私はあなたがこなくて、本当に困りました」というように、主語を「あなた」から「私」に変えて話すことです。

こうすることによって、「自分が責められている」という心理的反発が消え、相手も、こちらの言い分を受け入れやすくなるのです。

加えていうと、「そんなことしては困ります」ではなく、「○○してくれると助かります」というようなニュアンスの話し方をするほうが、相手が要求をのんでくれる可能性がアップします。

腹が立ったときに「バカ野郎!」と叫ぶと、一瞬はすっきりするかもしれません。

でも、それでは何も変わらないのです。

むしろ関係はますます悪くなっていきます。

「この野郎!」と思っても、その言葉は飲み込んで、相手が耳を傾けてくれるように持っていくほうが、先々を考えればずっと得なのではないでしょうか。