知つてますか?「辛い刺激」のプラス効果・マイナス効果
子供が辛いものを食べると、刺激が強すぎて頭に悪いとか、辛いものの刺激は肝臓によくないなどといわれてきたが、果たして本当なのだろうか。
実際にはこのようなことはないといった方が当たっている。
たとえば、肝臓疾患の場合、病状の種類にもよるが、タンパク質の多い食事をとりたいようなときには、食欲を増進するために、刺身にワサビを添えたり、香辛料を使ったりすることが積極的に行なわれることがある。
これは、香辛料の辛みが病気にあまり影響しないということであろう。
香辛料には、辛みの強いものがかなりある。
これらは、体に害があるよりは、益の方が大きい場合が多いと考えた方が妥当である。
というのも、他の項でも取り上げたように、トウガラシのカプサイシン、ショウガのショウガオールやジンゲロンの代謝促進作用をはじめとして、カラシやわさびのアリルカラシ油、サンショウのサンショオールの健胃作用など、辛味成分にはいずれも健康にとって有用な物質が含まれている。
刺激のあるものは、その感じから体によくないと短絡的に考えられたのだろうが、科学約には根拠のない場合の方が多いようだ。
だいたい子どもなどは、体に受け入れられない刺激は、本能的に受けつけない。
これは、身を守る反応であると考えられる。
カレーなども、幼児の場合、かなり辛みをやわらげたものでないと受け入れないのも、本能的に強すぎる刺激を避けているためと考えられる。
このようなことから、すべての刺激的なものが脳や弱っている体によくないと考えるのは感心できない。
ストレスなどが強くかかっているとき、辛みの刺激は、それを緩和するという働きもある。
仕事などに忙しく追いまくられ、ストレスを強く感じるようなときに、激辛のカレーを食べたくなるのは、体がこうしたものを欲しているからだ。
夏の高校野球大会が行なわれる甲子園球場では辛いカレーに人気があるというが、これも高温と緊張の中でのストレスに対する解消策とみることができる。
暑い南方の国で、香辛料のきいた辛い料理が日常的に食べられているのも、暑さに対するストレスの緩和のためでもあると考えてよい。
さらに、夏、熱気が強いとき、辛みのきいた料理を食べることは、食欲を増進するので必要な栄養をとる上においても大切な生活の知恵ということができる。